SPECIAL

視聴者と同じ気持ちで。 “WOWOWサッカーの顔”として薮宏太がEURO 2020で伝えたいこと

2021.06.04

日本で「UEFA EURO 2020™ サッカー欧州選手権」を放送するのは、今年4月に開局30周年を迎えたWOWOWである。同社がEUROを放送するのは1996年より7大会連続であり、サッカーファンにとってはお馴染みの放送局である。そんなWOWOWで今回、EURO関連番組のMCを務めるのがHey! Say! JUMPの薮宏太である。大のサッカー好きとしても知られる彼に欧州サッカーの魅力、番組出演時の心得、そしてEUROへの想いを語ってもらった。

※『EURO2020 GUIDEBOOK』より転載

レアル・マドリードを応援したら勘当する

――昨年3月に卒業した早稲田大学の卒業論文では「地域密着型のサッカー文化を生み出す背景」というテーマで、バルセロナまで行かれて調査されたそうですね。

 「大学では文化人類学を専攻していて、関連するテーマで卒論を考えた時に『自分の好きなサッカーを題材にしたい』と思って。今、サッカー番組の仕事もさせていただいているので、そうした場で(研究結果を)発信することも目標として取り組みました」

――この論文のキーワードである『地域密着』はどのように定義しましたか?

 「日本との比較で考えたときに(サッカー)クラブの存在が地域や自分たちのアイデンティティになっている感覚が欧州の方が強いと思っていて。FCバルセロナの勝利がカタルーニャ州の誇りになる。(地域密着の定義は)そういうマインドを地域全体が持っていることですね。Jリーグも盛り上がっていますが、(欧州では)それ以上に老若男女が人生をかけて1つのクラブを応援している。その理由を知りたくて」

――実際に現地では老若男女40名程度の方に話を聞かれたとか。

 「サッカー関係者だけに話を聞くと意見が偏ると思ったので、なるべく幅広い世代に声をかけました。公園を歩いている老夫婦、地元の小学生、タクシーの運転手、バルでサッカーを語り合っていた親子……あえてサッカーに興味がなさそうな女性にも声をかけましたけど、みんなバルサが好きでした(笑)」

――え!? ノンアポでインタビューしたのですか?

 「実はそうなんです。バルセロナに滞在した1週間は毎日、朝から晩まで。通訳さんに同行してもらったのですが、今振り返るとよく付き合ってもらえたなと。僕が『あの方、いけますか?』とお願いして、通訳さんが『頑張ってきます』と交渉する形で。『OKもらえましたー!』って(笑)。分厚いメモ帳がすぐいっぱいになるくらい話を聞きましたね」

――その中でも一番印象的だった話を教えてください。

 「ストリートサッカーをしていた親子に聞いた話ですね。父親は弁護士で、息子が地元のサッカークラブでプレーしていて。両方ともバルサのファンなのですが、『もし息子さんがレアル・マドリードを応援すると言ったらどうしますか?』と質問すると、『勘当する』と即答されて。『嫁も、両親も、親戚も全員バルサのファンだから、我が家ではそれは許されない』と。そこまでの想いがあるのかと驚きました」

――FCバルセロナを応援することに疑いがない。

 「バルサを応援することは特別ではなく、当たり前と捉えている人が多い。それが文化になるということなのかもしれないですね」

サッカーが好きな気持ちを大切にして

――本題に入ります。ラ・リーガの試合ハイライトや日本人選手の活躍を振り返る情報番組『リーガダイジェスト!』(WOWOW)のMCに就任されてから約半年が過ぎました。番組内でのコメントは主観と客観のバランスをすごく意識されているように見えます。

 「そうなんですよ。そのバランスはすごく難しい。実際に試合も観ているので、自分の意見は持っています。『こういうことを言いたい』という気持ちで収録に挑む時もありますが、解説の方の言葉と比べれば説得力が違いますし……。どちらかと言うと、イチ視聴者としての疑問や感想を解説者にぶつけることを意識しています」

――最近は視聴者の目線も厳しいですからね。“Hey! Say! JUMP “の肩書きでサッカー番組MCを務める難しさもあります。

 「僕自身、TVでジャニーズがMCを務めるサッカー番組を観たら『ん?ジャニーズがサッカー番組のMCで大丈夫か?』という目を向けると思います。けど、そこを自覚できているからこそ、サッカーに真摯に向き合い、視聴者の方と同じ『サッカーが好き』という気持ちを大切に出演しています。ちゃんとサッカーを観ているのか、どれくらい好きなのか。そういう部分は伝わるはずなので」

――一方で薮さんが番組MCを務めることによって、これまでサッカーに関心のなかった層を開拓できる効果も期待されます。薮さんのサッカー好きは専門性も含んでいるので、新規ファンには少しハードルが高い気もしますが(笑)

 「僕のことを応援してくれるファンであれば、僕が好きなサッカーも勉強して欲しいですね(笑)。『(ルカ・)モドリッチって誰?わからない』ではなく、『薮君が好きなモドリッチを私も好きになってみようかな』と思って欲しい」

ルカ・モドリッチ(クロアチア)

――番組内であれだけ楽しそうに話をされているので、サッカーの魅力は伝わっていると思いますよ。

 「僕もサッカー番組はいろいろ観ていて。『やべっちスタジアム』の矢部(浩之)さん、『スーパーサッカー』の加藤(浩次)さん、『FOOT×BRAIN』の勝村(政信)さん、そして、僕の前に『リーガダイジェスト!』でMCを務められていた(ペナルティ)ヒデさん。皆さん、サッカーが大好きで、自然体で応援されている。そういう姿勢だからこそ視聴者に伝えられることがあると思います。そこは僕も大切にしたいです」

――そうしたサッカーファンとしての想いや経験が、“応援される側”である日々の芸能活動に活かされると感じることはありますか?

 「僕は自分を物事の中心に考えてくれる多くのファンに支えてもらっています。そして、自分を含めたサッカーファンも多くの時間とお金を使ってクラブや代表を応援しています。その点ではサッカー選手と僕の仕事は似ているかもしれません。ファンの方々は(応援する対象に)感情移入をしていて、パフォーマンスの1つ1つに一喜一憂している。だからこそ(応援される側として)責任感を持たなければいけないと思っています」

――“ファンの感情移入”をより具体的に説明する場合、どんな言葉を使うのが適当だと思いますか? サッカーファンとジャニーズファン、確かに通じる部分がありそうですね。

 「難しいですけど……『託す』ということかもしれません。サッカーファンは完全に託していますよね。応援している選手が欧州リーグで活躍すれば、日本人が認められている気がして嬉しい。あと、サッカーファンとジャニーズファンが近いのは成長過程を見続けることで『育てた』という感情を持つこと。ユース上がりの選手には特別な感情持つじゃないですか。小さい頃から芸能活動をさせてもらっていますが、僕をジャニーズJr.の時代から応援してくれているファンの方も近い感情だと思います」

ポルトガルは知念に譲った

――6月11日からはいよいよ『UEFA EURO 2020™ サッカー欧州選手権』が開幕します。同大会はWOWOWで放送・配信され、薮さんは関連番組のMCを務めることが発表されています。また、今回はHey! Say! JUMPのメンバーである知念侑李さんも“スペシャルサポーター”という立場で関連番組に出演されます。

 「知念とはサッカー仲間で、一昨年のチャンピオンズリーグ決勝をマドリードまで一緒に観に行きました。サンティアゴ・ベルナベウの(スタジアム)ツアーにも参加したのですが、知念をエスコートキッズに見立ててスタジアム入場を真似したり(笑)」

――知念さんは初めてのサッカー番組出演となります。先輩としてアドバイスはありますか?

 「いや、いつもの知念侑李のキャラクターを出せばいいと思います。変に構えて難しいことを言おうとせずに、イチ視聴者として素直な感想を言葉にすればいい。そうすれば彼の良さが出せると思う。知念、嘘つけないんですよ。思ったことを正直に話すタイプだから。けど、それでいいと思います」

――知念さんはEUROの注目国としてポルトガルを挙げられています。薮さんの注目国を教えてください。

 「ポルトガルは知念に譲ったんですよ。本当は僕もポルトガルと言いたかった(笑)。難しいな……イタリアかな。アズーリです。子供の頃からイタリアが好きで」

――てっきりスペインかと思いました。

 「『リーガダイジェスト!』のMCも務めているのでスペインはもちろん気になるのですが、小さい頃から国際大会ではイタリアを応援しちゃう節があるんですよ。よく覚えているのはピチピチのKAPPAのユニホームを着ている(フランチェスコ・)トッティ。カッコいいじゃないですか。あと、名前もオシャレ。ロベルト・バッジョ……フィリッポ・インザーギ……ジェンナーロ・ガットゥーゾ……マウロ・カモラネージ……どうですか?(笑)」

フランチェスコ・トッティ(イタリア)

――好きになるきっかけは案外そういうものかもしれません。

 「子供ってそんなもんですよね。……あっ、ディ・ナターレもいいな(笑)。あと、今のイタリア代表は強い。(イタリア代表に)セリエAでプレーする選手も多くて、それもいいですね」

――薮さんにとってEUROはどんな大会ですか?

 「やっぱり4年に1度……今回は前回大会から5年経ちましたけど、待ち続けた分だけ大会への想いは大きいです。レベルの高さもワールドカップ以上だと思っています。あと、国を背負う重み。国ごとに戦争や独立など様々な歴史があり、それはサッカーにも強く影響している。単純なサッカーの対戦ではなく、いろんな要素が含まれている大会がEUROです」

――では、最後にWOWOWのEUROの中継や関連番組を楽しみにしている読者の皆様にメッセージをお願いします。

 「1年で選手や戦術は大きく進化して、我々のサッカー観も変わっています。EUROは前回大会から5年。EUROがどんな欧州サッカー界の変化を見せてくれるのか非常に楽しみです。WOWOWの番組内では僕もサッカーファンの1人として、試合を観て感じたことを言葉にして、共演者や視聴者の皆さんと答え合わせができればと思っています。一緒に楽しみましょう」

【プロフィール】

KOTA YABU
薮 宏太

1990年1月31日生。2007年Hey! Say! JUMPでデビュー。MBSテレビ「よんチャンTV」隔週木曜レギュラー。WOWOW「リーガダイジェスト!」でMCを、同グループメンバーの知念侑李とUEFA EURO 2020™の関連番組を担当。ニューシングル「ネガティブファイター」が発売中

Photos: Getty Images

プレミア会員になってもっとfootballistaを楽しもう!

プレミア会員 3つの特典

有料記事が読める

動画が観られる

雑誌最新号が届く

「footballista」最新号

フットボリスタ 2021年7月号 Issue085

「ペップ・シティ包囲網」でさらに発展? 現代サッカーの「守備」を考える。[特集Ⅰ]“対ポジショナルプレー”をめぐる進化。「守備戦術」で見る20-21最新トレンド。[特集Ⅱ]欧州スーパーリーグ構想 5つの論点

10日間無料キャンペーン実施中

TAG

EURO2020メディア

Profile

玉利 剛一

1984年生まれ。関西学院大学社会学部卒業後、スカパーJSAT株式会社入社。コンテンツプロモーションやJリーグオンデマンドアプリ開発等を担当。2018年より筑波大学大学院に所属し、スポーツ社会学を研究。修士号取得。サポーター目線をコンセプトとしたブログ「ロスタイムは7分です。」管理人。footballista編集部。