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プロアナリスト視点でのレノファ分析。『サッカーアナリストのすゝめ』実践編

2021.05.30

サッカーの高度化・複雑化に伴い、普通に試合を見ているだけでは目まぐるしく変化する状況を把握し、内容を評価することが難しくなってきている。そこで今回はフットボリスタ・ラボのジェイさんが、Jリーグクラブで実際にアナリストとして活動した実績を持つ杉崎健さんがそのメソッドを明かした書籍『サッカーアナリストのすゝめ』で紹介されている分析手法を用いて、長年追い続けているレノファ山口の試合分析にトライ。どの時間帯にどんなところに着目すればいいのか、試合の見方の参考にもしてほしい。

 J2を愛するみなさんこんばんは。海外サッカー専門誌のはずのフットボリスタですが、J1から県リーグまで、webではがっつり国内サッカーも取り扱っております。今回はJ2で首位争いを演じている京都サンガやアルビレックス新潟、FC琉球ではなく、個人的に追い続けているレノファ山口についてです。

 昨季最下位からの巻き返しをはかり、渡邉晋監督が就任してポジショナルプレーに基づくサッカーを目指しているレノファ。序盤はなかなかエンジンがかからず降格圏をさまよっていましたが、5月に入ってからは3勝1分1敗と好調。順位も真ん中あたりまで上げてきました。

 シーズンも約3分の1が経過したということで、ここまでのレノファについて振り返ってみよう……とも考えたものの、まだちょっと早過ぎるか。ということで、試合分析の真似事をやってみようかと思います。

 方法としては、過去に『モダンサッカーの教科書』からフレームワーク分析を用いたように、今回もフットボリスタの書籍を参考にしてみましょう。

 今回使用する教材は、横浜F・マリノスなどでアナリストを務められた杉崎健さんの著書『サッカーアナリストのすゝめ』です。サッカーアナリスト、いわゆる分析官のお仕事や在り方について網羅されていますが、アナリストを目指そう!という人以外でも楽しめる内容になっています。その中から、「method3 アナリストの試合の見方」で紹介されている手法を利用してレノファの試合を分析してみることにします。サンプル試合を「杉崎メソッド」を用いて分析しつつ、最後に現状と今後についてまとめる方向で進めさせていただきます。ではでは。

前半の分析

 サンプル試合は、5月9日に行われたJ2第13節ツエーゲン金沢戦をチョイス。最初は直近のブラウブリッツ秋田戦で進めようとしていたのですが、秋田の尖ったスタイルもあって「これはサンプルに挙げるには特殊だな……」と断念。精神衛生的にも勝ち試合を見返す方がありがたいので、天敵ツエーゲンから歴史的初勝利を挙げたこの試合とします。

 試合分析は本書でも紹介されている

■4局面で捉える
■15分ごとに「時間帯」を6分割する

この2つを軸として進めていきます。……

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レノファ山口

Profile

ジェイ

1980年生まれ、山口県出身。2019年10月よりアイキャンフライしてフリーランスという名の無職となるが、気が付けばサッカー新聞『エル・ゴラッソ』浦和担当に。footballistaには2018年6月より不定期寄稿。心のクラブはレノファ山口、リーズ・ユナイテッド、アイルランド代表。

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