
広島県1部リーグを全勝優勝しながら、コロナ禍によるレギュレーション変更のために「昇格」がなくなるという、複雑な状況に直面した福山シティFC。しかし、天皇杯でジャイアントキリングを連発し、6部クラブながら準々決勝進出の快挙を達成した。迎えたJ3王者・ブラウブリッツ秋田戦。そこで指揮官は何を感じたのか、そしてクラブの現在地と未来について福山シティを追い続けている著者がレポートする。
タイムアップの笛が鳴り響き、1つのクラブのシーズンが終わる。指揮1年目の青年監督は両ひざをついた姿勢でそれを受け入れ、福山シティの旅にひとまずの終わりが告げられた。
小谷野監督の3つのゲームプラン
広島県県1部リーグ(6部相当)のクラブが天皇杯の準々決勝まで進出。大会で挙げた4勝はすべてジャイアントキリングで、この日も敗れたとはいえJ3優勝クラブであるブラウブリッツ秋田相手に十分な見せ場を作った。すべて出し切った、やり切ったという満足感、達成感を醸し出したとしても、誰も文句は言わないだろう。
「悔しかったですね。まったく歯が立たなかったわけではないですし……」
しかして22歳(昨日誕生日を迎えて現在23歳)の指揮官、小谷野拓夢は悔しさをにじませた。立ち上がりから秋田の圧力を受け、ボールをなかなか前進させることができずに、14分には早々に先制を許してしまう。……
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Profile
ジェイ
1980年生まれ、山口県出身。2019年10月よりアイキャンフライしてフリーランスという名の無職となるが、気が付けばサッカー新聞『エル・ゴラッソ』浦和担当に。footballistaには2018年6月より不定期寄稿。心のクラブはレノファ山口、リーズ・ユナイテッド、アイルランド代表。