SPECIAL

エディンソン・カバーニ。ストライカーの手本、ギリシャ神のような見た目通り崇めたい34歳

2021.05.23

5月23日のプレミア最終節(対ウォルバーハンプトン)と、26日のEL決勝(対ビジャレアル)を残して、今季ここまでリーグ戦26試合10ゴール3アシスト、公式戦通算では38試合16ゴール6アシスト。昨年10月、移籍マーケット最終日の加入時には、マンチェスター・ユナイテッドの“パニック・バイ”と見る向きすらあった当時33歳のエディンソン・カバーニ獲得だが、ナポリで104得点(公式戦138試合/2010-13)、パリ・サンジェルマンで200得点(同301試合/2013-20)を積み上げてきたFWは、そんな懐疑的な意見を自力で一蹴。そして7カ月後の今月、さらに1年の契約延長に合意し、来季もその姿をユナイテッドの「7番」として拝めることになった。超一流のプレーに模範的な姿勢、魅力的な風貌……まだまだ見たい、応援したくなる選手だ。

ルーニーやネビルも否定的だった

 マンチェスター・ユナイテッドが、エディンソン・カバーニとの契約延長を発表したのは去る5月10日。34歳のウルグアイ代表FWは、前日のプレミアリーグ第35節アストンビラ戦(○1-3)で自身による今季15点目(公式戦通算)のゴールを決めていた。加入1年目のベテランではあるが、1年延長の契約オプションを選択したクラブの決断に異論は聞かれなかった。むしろ、南米リーグへの帰還も考えていた当人の引き止めが、来季に向けての最優先課題とさえ言われる中での残留決定だった。

 7カ月前とは雲泥の差だ。昨夏の移籍市場閉幕日に当たる2020年10月5日、1年契約で獲得された時点では、移籍金不要のフリーエージェントであっても、「判断ミス」、「補強失敗」といった声が巷に多かった。否定的な見解は、ユナイテッドゆかりの指揮者間でも同様。『サンデー・タイムズ』紙にコラムを持っていたウェイン・ルーニー(現ダービー監督)が「移籍金1億ポンド(約150億円)でもハリー・ケインを獲りにいくべきだった」と新CFの人選に意見すれば、テレビ解説者のガリー・ネビルも「意中のターゲットだったとは思えない」として、切羽詰まった状況での“パニック補強”を示唆していた。

 実際、チームを率いるオーレ・グンナー・スールシャールが「監督キャリア最悪の日」と嘆いたトッテナム戦大敗(●1-6)翌日の“滑り込み補強”ではあった。加入前の1、2年間はケガによる欠場も増え、古巣のパリ・サンジェルマンでのラストゲームから7カ月近いブランクも存在した。必然的にメディアでは、レンタルで移籍した14-15シーズンの姿が、まるで大物ストライカーの“ミイラ”のようだったラダメル・ファルカオ(現ガラタサライ)と比較された。コロナ禍で入国したことによる自主隔離なども相まって、クラブ側の期待度の高さを示す花形ナンバー「7番」を背負ってのデビューも入団20日目に持ち越された。……

残り:3,588文字/全文:4,771文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

TAG

エディンソン・カバーニマンチェスター・ユナイテッド

Profile

山中 忍

1966年生まれ。青山学院大学卒。90年代からの西ロンドンが人生で最も長い定住の地。地元クラブのチェルシーをはじめ、イングランドのサッカー界を舞台に執筆・翻訳・通訳に勤しむ。著書に『勝ち続ける男 モウリーニョ』、訳書に『夢と失望のスリー・ライオンズ』『ペップ・シティ』『バルサ・コンプレックス』など。英国「スポーツ記者協会」及び「フットボールライター協会」会員。

関連記事

RANKING

関連記事