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【昌子源インタビュー】得点力不足、コンディション、新システム……ガンバ大阪の現状と課題

2021.05.14

DAZNは2021年4月29日~5月16日を「RIVAL WEEKS」と題し、ダービーやライバル関係にあるチーム同士の一戦となる19試合を対象に、様々な企画を実施している。

今週末の注目試合は「オリジナル10対決」となるガンバ大阪浦和レッズ戦。フットボリスタではDAZN「Jリーグプレビューショー」との共同企画として、両クラブのキーマンにインタビューを実施。ガンバ大阪からは守備の要として今シーズン全試合フル出場を続ける昌子源選手に登場してもらい、チームの現状と課題、そして浦和レッズ戦への想いを語ってもらった(取材日:5月11日)

前線の選手が感じているプレッシャーを少なくしたい

――なかなか勝ち点を伸ばせない現状をどのように捉えていますか?

 「選手はこの状況を打破しようと一生懸命やっています。ゴールや勝利など、何かきっかけをつかみたいですね。昨シーズンも10試合以上無敗が続いた時期がありましたけど、そういう勢いに乗れることを信じています」

――シーズン序盤に新型コロナウイルスによる活動休止がありましたが、コンディションはいかがでしょう? 特に昌子選手は過密日程の中でもフル出場が続いています。

 「コロナの中断明け直後の試合はさすがに体力やゲーム勘の影響もあって難しい試合になりました。ただ、(活動休止期間中は)選手それぞれが家でできることを最大限にやっていたので。アウェイ・柏レイソル戦(4月11日開催)から中2日でアウェイ・サガン鳥栖戦(4月14日開催)の時はさすがにしんどいなと思いましたけど、中3日ある時は大丈夫ですね」

――実際、守備面では昨シーズン以上のパフォーマンスを維持しているように見えます。

 「そうですね。前線からの守備も含め、ヒガシ君(東口順昭)がビッグセーブを連発してくれたり、(三浦)弦太が(シュートを)体に当ててくれたり、いろいろな要素があると思いますが、失点数はちょっと多いかなと僕は思っていて。複数失点はダメですね。無失点を目指しつつ最低1(失点)だなと。もう少し減らせたと思います」

――スターティングメンバーが固定されない影響はありますか?特に右SBは毎節出場選手が変わっている状況です。

 「難しさは感じていますが、それを言い訳にはできないと思っています。CBは僕と弦太がペアで出場する時間が長いので、そこが安定していればそう崩されることはないかなと。ヒガシ君も含めた3人がまずはどっしり構えることが大事。川崎戦では佐藤(瑶大)選手が右SBで出場しましたが、彼の本職はCBなので。CBでも右と左で全然景色が違うのに、SBとなると尚更難しいです」

――右SBはガンバの現状を考える上でポイントになると思うので、この話題を続けますが、小野瀬康介選手の右SB起用は今シーズンのサプライズの1つです。昌子選手はこの起用をどのように解釈していますか?

 「彼が(右SBに)入ることで前への推進力が間違いなく上がります。ガンバは点がなかなか取れていない状態で、小野瀬選手や福田(湧矢)選手も(右SBに)入りますけど、彼らの持ち味は攻撃にあるので、できるだけ前に上げて右から攻めるという狙いを持っています。(小野瀬選手は)インサイドのポジションを取る時もあれば、外でプレーすることもできる。そういう器用さを持っていることも(右SB起用の理由として)あると思います」

――システムも流動的です。シーズン序盤は[4-3-3]に挑戦し、コロナによる活動休止後は昨シーズンと同じ[4-4-2]も併用されています。

 「フォーメーションが変わると戦い方も変わってきますし、難しさはあるんですけど、相手に合わせてシステムを変えられる臨機応変さがあるのはチームとして良いこと。ポジティブにみんなでトライして、結果がついてくるようになれば自信を持って戦えるようになるはずなので」

――第13節川崎フロンターレ戦後には「選手の距離感」をチームの課題として挙げていました。

 「彼ら(川崎フロンターレ)に共通して言えるのは、誰かが空けたスペースを他の誰が埋めていて、それぞれの選手がポジションにいるようで実はいない。いろんなバリエーションで選手が入ってきて、DFとしては捕まえづらい。一方で僕らは各ポジションに留まることが多かったので。川崎の真似をしたいとは思っていないですし、どちらが良い悪いではないですけど、ガンバも技術の高い選手が多いので、もう少しコンパクトにして相手を剥がずことはできたのではないかなと」

――そうしたチームとして抱える課題について、選手間でどのようなコミュニケーションを取っていますか?

 「昨年同様に思ったことは伝えていますが、今は少し気を遣っているところもあって。点が取れないから前線の選手に『いつ点取るねん!もっとシュート打てよ』と言ってチームが良くなるならボロカスに言いますけど、それは得策ではないと経験的に思っていて。サッカーはチームスポーツである以上、(点が取れないのは)前線の選手だけに原因があるのではなく、チーム全体の問題。相手のことを思って静かに見守るじゃないですけど、前線の選手が感じているプレッシャーをいかに少なくしてあげるかが僕らの仕事。それは彼らのことを信じているからこそ。僕ら(守備陣)以上に点が欲しいのは彼らなので」

昌子は得点力不足をチーム全体の問題と捉え、前線の選手をサポートするコミュニケーションを意識していると語る

日本らしくない雰囲気が出る対戦

――ここからは5月16日に行われる第20節浦和レッズ戦について伺います。まずはレッズに対してどのような印象を持っていますか?

 「僕はやっぱり(興梠)慎三君かな。鹿島時代、紅白戦で興梠・大迫(勇也)の2トップにチンチンにされましたね。特に慎三君なんて『どうやったらこんな人止められるの』と思うくらい。プロに入って最初に衝撃を受けた選手だったので。特別意識する存在ではありますね」

――レッズ攻撃陣は興梠選手の他にも、新外国人FWキャスパー・ユンカー選手がJリーグデビュー早々にゴールを決めるなどしていますが、どのように抑えようと考えていますか?

 「今の段階ではどう抑えたいかというのはあまり考えていなくて。ユンカー選手の情報も少ないので、試合をやりながら相手の特徴を見て、自分の感覚で(対応を)変えていく。徳島で素晴らしい結果を出した(リカルド・ロドリゲス)監督に変わって、昨年とは違うレッズになっていると思うので、どう抑えるかというよりは、まずは強い気持ちをもって試合に向かいたいなと思っています」

――ガンバとレッズ、両クラブの対戦は一時期「ナショナルダービー」と称されるなど、ライバル関係にありました。昌子選手にとって鹿島アントラーズ所属時代の同カードも重要な一戦だったと思います。

 「お互い(クラブカラーが)赤というのもありましたし、レッズ戦は鹿島でもナショナルダービーのような言われ方をしていました。両クラブともサポーターが素晴らしく熱いですし、カシマスタジアムも埼玉スタジアムもサッカー専用なので、日本らしくない雰囲気が出る対戦だったのは覚えています」

――残念ながら今週末のレッズ戦は新型コロナウイルスの影響で無観客試合になりますが、同様に無観客試合だった第13節川崎フロンターレ戦では昌子選手が無人の客席に手を振るシーンが話題になりました。

 「試合後、妻に聞きました。まさかカメラに抜かれるとは思ってなかったんですけど。恥ずかしいなぁ(笑)。今から(ウォーミング)アップという時にチームをリラックスさせようというか。実際、みんな笑っていたし、そういう意味も込めてちょっとやったという感じで……もうやらないです(苦笑)」

――“ライバル対決”という観点では、昌子選手はトゥールーズ時代にFCジロンダン・ボルドーとの「ガロンヌ・ダービー」を経験されています。Jリーグのライバル対戦と比較して雰囲気は違うものですか?

 「ボルドー戦は確かにちょっと雰囲気が違いましたね。発煙筒の量や、フランス語で何を言っているのかはいまいちわからないですけど、観客が明らかに威圧しているのは感じました。あと、フランスで有名なのはパリ(PSG)マルセイユの対戦ですよね。フランスではファン同士が殴り合って警察沙汰というのはニュースにもよくなっていたので。命の危機まではいかないけど、一瞬『ゾッ』とするのはありましたね」

――では、最後にレッズ戦に向けての意気込みをお願いします。

 「どの試合も大事ですが、ガンバの歴史的にレッズとはライバル関係があったと聞いていますし、負けられない一戦です。残念ながら無観客開催になりますが、テレビの前のガンバサポーターに勝利する姿をお見せしたいと思っています」

Photos: Getty Images

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ガンバ大阪昌子源

Profile

玉利 剛一

1984年生まれ、大阪府出身。関西学院大学卒業後、スカパーJSAT株式会社入社。コンテンツプロモーションやJリーグオンデマンドアプリの開発・運用等を担当。その後、筑波大学大学院でスポーツ社会学領域の修士号を取得。2019年よりフットボリスタ編集部所属。ビジネス関連のテーマを中心に取材・執筆を行っている。サポーター目線をコンセプトとしたブログ「ロスタイムは7分です。」も運営。ツイッターID:@7additinaltime

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