REGULAR

「ミス」を「変更」できる――ディバラとイグアインが2人で崩せる理由。

2020.03.23

風間八宏の真・ユニット論 第1回

「ボールをトラップしたのに“止まっていない”」「止める、外すの目をそろえる」など独自の技術論を突き詰めた指導者として、日本で唯一無二の存在となっている風間八宏。彼の技術論は個人で完結しているわけではなく、人と人の意思の疎通や駆け引きがベースになっている。個人の技術解説でもなく、チームの戦術解説でもない、数人の集団で構成されるユニットの動きは、サッカー解説の盲点になっているのではないか――名手たちの隠れた凄みを、“局面を切り取る達人”が斬る!

第1回は、ユベントスのアルゼンチン人コンビ、パウロ・ディバラとゴンサロ・イグアインが見せた「2対6」の攻略の秘密に迫る。

Pick up MATCH
2020.1.15
Juventus 4-0 Udinese | Round of 16 | Coppa Italia
16’ Higuaín

イグアインのトラップは「ミス」だった

 この得点の中には2つの要素があります。「成功」と「失敗」、「決定」と「変更」ですね。

 このシーンだけでなく、ディバラはずっとイグアインを見ています。最初のパス交換の前の時点からずっと見ている。そこから出して受けてを繰り返して2対1を作り続けていますね。これが大枠です。

 ただ、ラストパスの1つ前に注目してください。……

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Profile

竹中 玲央奈

“現場主義”を貫く1989年生まれのロンドン世代。大学在学時に風間八宏率いる筑波大学に魅せられ取材活動を開始。2012年から2016年までサッカー専門誌『エル・ゴラッソ 』で湘南と川崎Fを担当し、以後は大学サッカーを中心に中学、高校、女子と幅広い現場に足を運ぶ。㈱Link Sports スポーツデジタルマーケティング部部長。複数の自社メディアや外部スポーツコンテンツ・広告の制作にも携わる。愛するクラブはヴェルダー・ブレーメン。

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