明確なビジョンが見えたシャビのオランダ、クロップのドイツが取り戻すべきもの
新・戦術リストランテ VOL.135
footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!
第135回は、シャビ・エルナンデスとユルゲン・クロップという明確なスタイルを持つ新監督を迎えることになったオランダvsドイツを分析。ビルドアップとプレッシングの攻防、背後からのプレスをかわすMFの技術、そして両指揮官が持つフットボールの思想。その差から見えてきた、オランダとドイツの現在地とは?
「色」が出ていたのはシャビ
UEFAネーションズリーグのオランダ対ドイツは1-1のドローでした。
13分にファン・ダイクがCKからヘディングで決めてオランダ先制かと思いきや、ファウルがあってノーゴール。その後もオランダが優勢でしたが先制点はドイツ。この得点はちょっと微妙な流れがありまして、オランダのFWブロビーが足を痛めて倒れていて、オランダの選手たちはボールを外へ出してくれとアピールしていました。主審も止めようかどうしようか迷っている感じが見えましたが結局そのまま流し、キミッヒの左から右へのロブを収めたブラウンがクロスを入れ、そのこぼれ球をヌメチャがゲット。
ブロビーが倒れていたのはプレーに影響を与える場所ではなく、負傷箇所が足であって頭部ではないので、主審がプレーを続行させたのは間違っていたとは思いませんが、オランダにしてみれば不満の残る失点ではあったでしょう。
怒りの反撃というわけではないでしょうが、オランダが立て続けにシュートを放ち、GKテア・シュテーゲンが立て続けにセーブ。0-1で前半終了。
後半もオランダの攻勢。3分間のアディショナルタイムに入ったところで終盤に投入されていたファン・ボメルのクロスボールをガクポがボレーで決めて1-1となりました。
両チームとも新監督。オランダはシャビ監督、ドイツはクロップ監督です。この試合に関して言えばシャビ監督の方が色は出ていたと思います。
シャビはバルセロナ全盛期の中心選手。史上最もバルセロナらしいMFでしょう。骨の髄までバルセロナのフットボール、哲学がしみ込んだ人物です。バルセロナのプレースタイルは源流がオランダ。オランダといえばボールポゼッションとプレッシング。この日のオランダはまさにそれを前面に打ち出したプレーぶりでした。
一方、クロップ監督はドルトムントやリバプールで有名になったゲーゲンプレッシングがトレードマーク。その片鱗は見えました。ただ、シャビ監督に比べると監督の色がそれほど濃くなかった。今やハイプレスは多くのチームが行っているので、そこに特別感がなかったせいかもしれません。
違いになったのは「スイッチ」の速さ
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Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。
