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監督交代のいわき。「変わるのは枝葉、幹は変わらない」田坂和昭新体制が強調する「原点」からの再出発

2026.09.25

いわきグローイングストーリー第21回

Jリーグの新興クラブ、いわきFCの成長が目覚ましい。矜持とする“魂の息吹くフットボール”が選手やクラブを成長させ、情熱的に地域をも巻き込んでいくホットな今を伝える。

第21回は9月、監督交代に踏み切ったチームの変化について迫る。長年チームを指揮した田村雄三監督が9月7日付けで辞任し、2026シーズンからスポーツディビジョン・ダイレクター(SD)を担っていた田坂和昭氏が新指揮官に就任した。田坂新監督の下、チームは現在2連勝。前体制から何を継承し、何が変わったのか。

変わるのは枝葉、幹は変わらない

 「変えるところと変えないところ」

 田坂和昭新監督が、就任直後の取材で繰り返し口にした言葉。

 4連敗の末に田村雄三監督が辞任し、2026シーズンからスポーツディビジョン・ダイレクター(SD)としてクラブに関わっていた田坂新監督が指揮を執ることになった。通常なら、監督交代に伴って戦術やメンバー、練習方法などが大きく変わることも珍しくない。今回のいわきはどうか。

 田坂監督は、就任会見の段階から「いわきFCのアイデンティティ、幹は変わらない」と繰り返していた。変えるのは「枝葉」。その言葉だけを聞けば、変化は小さく映るかもしれない。だが、実際に練習を見ていると、選手たちの身体にかかる負荷も、ボールを動かす際の距離感も、細かな要求も変わっている。

 では、田坂体制で何が変わり、何が変わらないのか。

 その答えを探すキーワードが、「原点」だった。

「もう一回、いわきのサッカーに戻したい」

 田坂監督は今年1月からSDとしてチームを見てきた。田村前監督の下で選手やスタッフと日々関わり、試合も外から分析していた。その立場から見ても、チームが決して何もできていなかったわけではないと振り返る。負けが続いた試合でも、ゴール期待値などのデータでは、勝利した試合以上の数字を記録した試合もあったという。

 それでも、勝ち切れない。

 第4節・新潟戦では主導権を握る時間を作りながら失点し、逆転負け。続く第5節・徳島戦でも多くのチャンスを作りながら、リスタートから失点して得点を奪えなかった。田坂監督が問題として捉えたのは、サッカーの大枠そのものというより、勝負を分ける細かな部分だった。

 だからこそ、就任直後から掲げたのが「原点」。

 「球際で負けない、取ったら前に行く、縦に速く行く」

 いわきがこれまで積み上げてきたサッカーを、田坂監督はそう言葉にする。戦う。走る。簡単に倒れない。ボールを奪いに行く。突破されたら戻る。そして最後は体を張ってゴールを守る。

 田坂監督がやろうとしているのは、この上に新しいサッカーを上書きすることではない。いわきがもともと持っていたものをもう一度強くしたうえで、自分の考えを少しずつ加えていく。

 「立ち返るところがあると、次に進みやすい」

 田坂監督は「原点」について、そう語っている。原点とは、過去に戻ることではなく、迷ったときに立ち返れる場所を確認し、そこから次の一歩を踏み出すためのもの。

 いわきFCが生まれたきっかけは、2011年の東日本大震災。「3.11」という原点は、クラブの歴史そのものに刻まれている。

変わったのは「距離」と「選択肢」

 田坂監督になってからの練習で目につくのが、選手同士の距離感。

 山口大輝も、田坂監督になってから「距離感をよくして」「相手がいても縦パスを刺していい」といった要求が増えたと話している。田坂監督自身も、1月からチームを見てきた中で「こういうアレンジをしたら今いる選手が生きるんじゃないか」と考えていたといい、その一つが距離感だったという。

……

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Profile

近藤 健多朗

1999年、愛知県生まれ。幼少期から高校卒業までプロサッカー選手を目指したものの、怪我により断念。大学卒業後は一般企業で勤務していたが、サッカーへの情熱を捨てきれず一念発起し、ライターに転身。現在は『エル・ゴラッソ』にて、いわきFCおよび福島ユナイテッドFCの担当記者を務める。

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