REGULAR

タレントの足し算では勝てない?「6局面の時代」に迷うモウリーニョのマドリー

2026.09.23

新・戦術リストランテ VOL.134

footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!

第134回は、マドリッドダービーでアトレティコ・マドリーに敗れたレアル・マドリーを分析。ムバッペとビニシウスという特別なタレントを抱えるがゆえの守備面の制約、強力な補強によって生じるポジションの競合。強い選手を集めるだけでは解決できない、モウリーニョのマドリーが抱える「足し算」の限界とは?

ハイセン退場で露呈した、マドリーの「守れない」構造

 先週末は各地で重要な試合がありました。フランスではマルセイユ対パリ・サンジェマン、イタリアはローマ対インテルの首位攻防戦。そしてラ・リーガはアトレティコ・マドリー対レアル・マドリー。

 スペインの首都決戦は2-1でホームのアトレティコが勝利。これでアトレティコは2位に浮上、逆にレアル・マドリーは4位に転落しています。今季はバルセロナが強すぎるので、2敗目の痛みはなおさらでしょう。

 勝敗のポイントは49分、ハイセンの退場でした。対角のロングパスで抜け出したジュリアーノ・シメオネをホールディングで倒してレッドカード、さらにPK献上。グリマルドがPKを決めてアトレティコが先制します。

 ここでモウリーニョ監督はビニシウス、ギュレルの両サイドに代えてディオマンデ、リュディガーを投入。[4-4-1]とします。ムバッペの1トップ、MFは右からディオマンデ、バルベルデ、チュアメニ、ベリンガムでしたが、すぐに右からバルベルデ、チュアメニ、ベリンガム、ディオマンデに組み替えました。

 考えを変えたのか、それとも元々こうするつもりだったのかはわかりませんが、サイドをスピードのあるバルベルデ、ディオマンデにして、ベリンガムを中央に移しました。ベリンガムはサイドより中央の方がプレーしやすそうですし、直前にイ・ガンインにカットインを許したのを見てモウリーニョ監督が不安に思ったのかもしれません。

 しかし、その直後に2点目を喫してしまいます。イ・ガンインからジュリアーノへ渡ってGKとDFの間を通す絶妙のクロス、これをジョナサン・デイビッドが合わせました。

 イ・ガンインがボールを持ってジュリアーノが追い越し。イ・ガンインに対峙していたククレジャはディオマンデにイ・ガンインを受け渡してジュリアーノへ。ここまでは問題なかったのですが、ククレジャはマイナス方向へのクロスを警戒したのか、ジュリアーノの方が縦に抜け出ていました。GKとDFの間へのロークロスは中央で処理できると思ったのかもしれませんが、結果的に空いているコースにそのままラストパスを通されて決められてしまいました。

 レアル・マドリーはその後も何とかピンチを防ぎつつ、90分にはFKからリュディガーが得点して1点を返しますがここまででした。

「特別枠」が2人になると、ハイプレスは成立しない

……

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Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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