中村敬斗を、解き放つか!?多士済々、フォンセカ流リヨンの現在地
おいしいフランスフット #32
1992年に渡欧し、パリを拠点にして25年余り。現地で取材を続けてきた小川由紀子が、多民族・多文化が融合するフランスらしい、その味わい豊かなサッカーの風景を綴る。
footballista誌から続くWEB月刊連載の第32回(通算190回)は、中村敬斗の才能をさらに引き出すかもしれない、リヨンの流動的なスタイルと多士済々の仲間たちを紹介したい。
オランピック・リヨネの今シーズンのヨーロッパリーグ初戦のアンデルレヒト戦(○1-2)で、中村敬斗は見事、初先発にして初ゴールをマークした。
開幕後もスタッド・ランス(2部)では試合に出場せず、9月12日のリーグ1第4節パリFC戦(△0-0)で、終盤の15分間、ピッチに立ったのが新天地での初プレー。その4日後にさっそくゴールを決めるとは、やはり彼は、何か持っている。
スタッド・ランスからの移籍が決まったのは、メルカートの最終日を過ぎてからだったので気を揉んだが、フランスリーグ同士であれば、1名だけデッドライン後でも移籍が認められるというジョーカー枠を使ったとのことで(そういえば、そんなルールあったな、と今さらながら思い出した)、とにかくトップリーグに復帰できたのはよかった。
パウロ・フォンセカ監督は、攻撃陣が自在にポジションを変える流動的なスタイルを好む印象があるから、真ん中でもサイドでも自在に持ち味を出せる中村にとっては、まさに水を得た魚のような環境になるかもしれない。
システムは、机上では[4-2-3-1]なのだが、局面に応じて変化する。攻撃時は、サイドバックを1人残した3バックの状態+2ボランチで守りを固めて、あとの5人は積極的に攻撃参加する形を取る。その際、ウイングは中に絞ってインサイドハーフの役割を担うことも多い。
監督自身「今年はよりバランスの取れたグループになったので、変更が可能」と語っていて、メンバー、システムともに、さらに柔軟性があるものになりそうだ。
その中で、ここでは今シーズンの主力の一角を担う主要メンバーを紹介していこうと思う。
粒ぞろいの左SB、ベルギーのゴールマシン、最大の掘り出し物…
まずは中村敬斗。
フォンセカ監督の攻撃スタイルで、ウインガーの役割は非常に重要だ。一昨シーズン、スタッド・ランスと対戦した試合後には、自ら「ウチに来い」と伊東純也(現ゲンク)を口説いていた。このリヨン戦に中村は出ていなかったのだが、その後もランスの試合はチェックしていたはずだから、中村のプレーも十分に観察していたのだろう。得意のカットインからのシュートや、ライン間でラストパスを受けてゴールを狙うインサイドフォワードとしての働きも期待されている。
中村と左サイドでコンビを組むSBは、ブラジル人らしい技術力と積極的な攻撃参加が魅力のアブネル。
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Profile
小川 由紀子
ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。
