新・戦術リストランテ VOL.122
footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!
第122回は、北中米W杯で際立つ2つの完成形、アルゼンチンとモロッコを分析する。メッシという唯一無二の存在を中心に据えるアルゼンチンは、かつてのイタリア代表を思わせる機能美を見せる。一方、モロッコはスター不在でも全員が連動する現代版トータルフットボール。対照的な成り立ちを持つ2チームが、なぜ高い完成度を発揮しているのか。その理由を読み解く。
2026年W杯のグループステージもこれからが佳境。全48チームが2試合を消化した段階で優勝候補を挙げるならアルゼンチン、モロッコ、イングランド、フランス。米国がダークホースでしょうか。あとは初戦で躓いたスペイン、ポルトガルが盛り返してくるかどうか。過去、初戦に大勝した時のドイツも好成績を残しているので注目です。
完成度が高いと思ったのはアルゼンチンとモロッコ。
ある意味、対照的な2チーム。アルゼンチンはリオネル・メッシが2試合5ゴールの大活躍、1人のスーパースターを9人のフィールドプレーヤーが支える典型的な「1+9」構造のチームです。一方、モロッコはスーパースター不在ながら10人が一体となってプレーする。成立の仕方が全然違うのですが、どちらも際立ったプレーぶりです。
⚽ #Argentina 0 🆚 #Austria 0
⏱ 15' PT pic.twitter.com/WYkNrHUv9q
— 🇦🇷 Selección Argentina ⭐⭐⭐ (@Argentina) June 22, 2026
メッシ中心の「1+9」構造。イタリアンなアルゼンチン
今大会(前大会もそうですが)のアルゼンチンを見ていて思い出すのは1980年代までのイタリアです。
イタリア系国民が多いせいか、サッカーでも古くからイタリアとの関係が深い。準優勝した第1回W杯の主力だったルイス・モンティなど数人のアルゼンチン代表選手は、第2回大会ではイタリア代表としてプレーして優勝しています。1961年バロンドールを受賞したオマール・シボリもイタリアに帰化していますし、2006年大会優勝メンバーのマウロ・カモラネージもそうですね。
ハードなディフェンスと鋭いカウンターアタックというプレースタイルはアルゼンチンとイタリアの共通点です。
1980年代までのイタリアは独特の形を持っていました。リベロ+マンツーマンの守備は現在のアルゼンチンとは違いますけど、個々のポジションにそれぞれ役割のあるパッチワーク的な構成が似ている気がします。
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Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。
