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日本のW杯対戦国チュニジアが抱える根本的な問題=22歳の逸材ハンニバルの「中田英寿化現象」とは?

2026.01.07

新・戦術リストランテ VOL.99

footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!

第99回は、日本のW杯第2戦の対戦相手チュニジアの分析。アフリカ・ネーションズカップのラウンド16敗退でトラベルシ監督が解任されてしまったが、彼らが抱える根本的な問題について考察してみたい。

ラウンド16敗退でトラベルシ監督が解任

 アフリカ・ネーションズカップのラウンド16でチュニジア代表が敗退。トラベルシ監督とスタッフが速攻で解任されました。日本代表がW杯の2戦目で対戦する相手ですが、何だか上手くいっていない様子です。

 マリ代表とのラウンド16、マリが25分に退場者を出したので、チュニジアのワンサイドゲームでした。ところがなかなか得点できず、88分にようやく交代出場のシャウアがゴールしますが、アディショナルタイムにPKを献上して1-1の同点に。延長戦でも決着がつかず、PK戦2-3で敗れました。

 チュニジアはW杯予選無敗無失点、親善試合でブラジルと引き分けているので、何となく嫌な感じのする相手というイメージもあるかもしれませんが、問題ないと思います。

 個々の技量、チームとしての組織力、どちらも日本が上です。むしろこの相手に勝ち点を落とすようならグループステージ突破は覚束ないでしょうね。

 本来は守備型のチームなのに、相手がもっと守備的なので攻めなければならなかった、という事情はあります。得意な形の試合にならなかったということです。ただ、守備的な5バックでスタートしたグループステージのナイジェリア戦は3失点しちゃっています。前半に先制されたので、後半から少し攻撃的に4バックにシフトしたら途端に連続失点。5バックのローブロックならある程度守れますが、それでも特別に強固という印象はありません。

 もちろんW杯に出てくるチームですから油断は禁物。簡単な相手などいない。しかし、監督コメントとしてテンプレ化している「難しい相手」に関して、今回48チームに参加数が増えたことで以前ほど真に受ける必要もないのかなとは思います。

日本が最も警戒すべきはセットプレー

 基本フォーメーションは[4-1-4-1]ですね。ナイジェリア戦は[5-3-2]だったので、W杯はこちらがメインになる可能性もありますが。

チュニジアの基本布陣

 中盤底のスキリ、その前のハンニバル、サシ。この3人は絶対という感じ。

 スキリは4バック、5バックのどちらでもDFラインのすぐ前にいて4+1、5+1のユニットに組み込まれています。強靭ではないしスキルが格別というわけでもありませんが、献身的で判断も安定している計算できる存在です。

 左インサイドハーフのハンニバルはライオンの鬣みたいなヘアスタイルが印象的な22歳。若いながらもチームの中心という貫録。マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、リバプールと名だたるクラブが関心を持っていたという逸材です。パリFC、ASモナコを経て、現在はバーンリーに所属。このチームの中では最もモダンといいますか、他の選手とは考えていることが違う選手です。

……

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Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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