板倉滉のアヤックスvs上田綺世のフェイエノールト。日本人対決のデ・クラシケルで感じたJリーグの未来像
新・戦術リストランテ VOL.97
footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!
第97回は、日本人対決となったオランダ伝統のデ・クラシケル=アヤックスvsフェイエノールトにフォーカス。試合は不調に苦しむアヤックスが見せたローブロックの可変5バックがはまって、2-0でホームチームが勝利。同時に、とにかく若手が多いアヤックスの選手構成に感じたJリーグの未来像について思いを巡らせてみたい。
アヤックスの珍しい可変5バック
エールディビジ第16節、アヤックスvsフェイエノートのデ・クラシケルがありました。200回目だそうです。アヤックスには板倉滉、フェイエノールトに上田綺世と渡辺剛がプレーしているので日本人対決でもありました。
世界中にたくさんのダービーマッチはあるものの、たぶん最も物騒な対戦の1つでしょう。両チームサポーターの衝突が繰り返され、2006年に799人もの逮捕者を出したことで以降5シーズン、アウェイ側入場禁止の措置がとられました。13-14シーズンのカップ戦決勝(vsズウォレ)でアヤックスのサポーターが大量の花火をデ・カイプのフィールドに投げ入れたため、アムステルダムとロッテルダム両市長は期限なしでアウェイサポーターの入場禁止として今日に至っています。
今季第14節フローニンゲン戦でも夥しい花火、発煙筒の投げ入れがありまして中止になっています。開始6分で中断。ほぼ火事でしたからね。42分後に再開しましたが、すぐさま花火が投下されて中止決定。翌日、無観客試合をやってアヤックスが2-0で勝っております。アヤックスのサポーターは何度か花火の投げ込みをやっていて、クラブは「文化の一部ではない」と声明を出し違反者の出禁など処置はしていますが、どうなることでしょうか。
2位フェイエノールトと4位アヤックスの今回対戦はホームのアヤックスが2-0で勝利、3位に浮上しています。
とはいえ、まだ5ポイント差があり、首位のPSVとは14ポイントも離れています。このところの3連勝でようやく持ち直してきた感じですね。
アヤックスといえば正確なパスワークによる攻撃サッカーのイメージですが、現在は可変5バックによるカウンターのスタイルです。
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Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。
