3大会連続W杯予選敗退の危機?イタリア代表は、なぜ勝てなくなったのか
新・戦術リストランテ VOL.93
footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!
第93回は、2018年、2022年と2大会連続でW杯出場を逃しているイタリア代表の危機について。今予選もノルウェーに屈してプレーオフに回ることになったが、歴代2位となる4回のW杯優勝を誇る強豪国は、なぜ勝てなくなってしまったのか?
三度目の正直か?二度あることは三度あるか?
イタリア代表がプレーオフに回ります。W杯欧州予選グループIの最終戦でノルウェー代表に1-4と敗れて2位が確定。これで2018年、2022年に続いての3連続プレーオフとなります。
2018年はスウェーデンに敗れ、2022年は北マケドニアにまさかの敗戦。三度目の正直、二度あることは三度ある。果たしてどちらになるでしょうか。
イタリアのグループIはノルウェーがダントツに強くて8戦全勝、37得点5失点で1位通過しました。イタリアは6月にアウェイで0-3と完敗を喫しており、最終戦はホームに迎えてリベンジを期しましたが後半に4点叩き込まれてまたも完敗。そもそも首位通過するためには9点差勝利が必要で、それは無理難題としてもせめて勝ってプレーオフに勢いをつけたかったでしょうね。
11分に新鋭エスポジートのゴールで先制しています。前半は優勢でした。ただ、「勝てる気がしない」というのが個人の感想ですが正直なところでした。
ノルウェーが強すぎるという意味ではありません。予選での戦績は凄まじいですけど、試合内容はそんなに圧倒的ではないです。相変わらずの手堅いサッカーにホーランド、ヌサ、セルロート、ボブのアタッカー陣が上手く噛み合っての快進撃。この試合でも前半はイタリアがボールを握って攻め込んでいました。
ノルウェーうんぬんより、イタリアが強くない。かつての強豪の面影はもはやありません。ボールを握っていても、そんなに点を取れる気がしない。
前半は明らかにノルウェーが力をセーブしています。先制されてもまだ8点の余裕がありますからね。にもかかわらず、イタリアに追加点の匂いがあまりしなかったのは攻撃面でのタレント不足とともに機能性の面であまりに硬直していたからです。
攻め手はほぼクロスボールだけ。しかもほぼハイクロス。これでは高さのあるノルウェーから大量点は取れません。レベルの差が大きいというより、イタリア自身の問題かと思います。
ポリターノとディ・マルコを封じられたら「何もない」
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Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。
