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アルゼンチンユース代表、復活の手ごたえ。国民に今一度「夢」を見せてくれたU-20W杯「涙」の準優勝

2025.11.03

EL GRITO SAGRADO ~聖なる叫び~ #22

マラドーナに憧れ、ブエノスアイレスに住んで35年。現地でしか知り得ない情報を発信し続けてきたChizuru de Garciaが、ここでは極私的な視点で今伝えたい話題を深掘り。アルゼンチン、ウルグアイをはじめ南米サッカーの原始的な魅力、情熱の根源に迫る。

footballista誌から続くWEB月刊連載の第22回(通算181回)は9271019日のU-20ワールドカップで惜しくも8大会ぶり7度目の優勝こそ逃したものの、確かな功績を残したU-20アルゼンチン代表とディエゴ・プラセンテ監督について。

「愛しく誇らしい選手たちになんとしても勝たせてあげたかった」

 「一番寂しいのは、この世代の仲間たちと別れることだ。ほとんどの選手たちがチームを離れていくからね。でも、彼らがまだ少年だった頃から知っていて、その成長をずっと傍で見守ってきたからこそ、誇らしさも込み上げてくる」

 先日チリにて開催されたU-20W杯の決勝で、U-20モロッコ代表に敗れた後、U-20アルゼンチン代表のディエゴ・プラセンテ監督はそう語りながら、堪えきれない涙を滲ませた。

 指導者としてのスタイルや落ち着いた性格が、現役時代の師匠ホセ・ペケルマンに似ていると言われるプラセンテだが、教え子たちについて語る時にどうしても涙腺が緩んでしまうところなどはまさに恩師そのものだ。

プラセンテ監督(48歳)

 だが、彼があの場で見せた涙には、具体的なわけがある。

 本来はU-15アルゼンチン代表監督を務めるプラセンテだが、巡り合わせの妙(※1)によって2023年にはU-17代表監督、2024年12月からはU-20代表監督を任されることとなった。今大会で率いたメンバーの大半は、彼がU-15代表監督としてコロナ禍の前から視察を続けてきた選手たちであり、2023年にはU-17代表監督として彼らを導き国際大会に出場。同年のU-17W杯準決勝ではPK戦の末ドイツに敗れて決勝への道を阻まれ、ロッカールームで肩を震わせて泣く選手たちを一人一人慰めた。

……

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Profile

Chizuru de Garcia

1989年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。

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