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「勝ちに慣れる」チームが見せた盤石の試合運び。柏レイソルがデザインしたルヴァンカップ準々決勝の180分

2025.09.11

太陽黄焔章 第28回

横浜F・マリノスと対峙することになったJリーグYBCルヴァンカップ準々決勝。柏レイソルはアウェイでの第1戦、ホームでの第2戦と、ともにきっちり勝ち切って、次のステージへの進出を手繰り寄せた。2試合の合計スコアは5-1。盤石とも言えるような180分は、いったいどのようにデザインされたのか。鈴木潤が選手と監督の言葉を引き出しつつ、考察する。

アウェイで4-1の快勝。手にした大きなアドバンテージ

 J1第28節・アビスパ福岡戦から中2日の9月3日、柏レイソルはJリーグYBCルヴァンカップの準々決勝第1戦を迎えた。

 中2日の連戦の際、これまでは先発メンバーを大幅に入れ替えて臨むことが多かったのに対し、リカルド・ロドリゲス監督は「良いコンディションを維持できている」との理由から、今回の横浜F・マリノス戦では福岡戦から引き続き多くの選手を先発に起用した。

 ただ、やはり連戦による疲労の影響は拭いきれなかった。「中2日ということもあり、複数の選手はいつもあるフレッシュさ、そしてプレーのキレがなかった」と振り返るリカルド・ロドリゲス監督の言葉どおり、普段のリーグ戦に比べると全体的に動きが重く、さらにホームで先勝を狙う横浜FMの前からの守備によって、思いどおりに前進できない時間帯が続いた。

 だが柏は、この横浜FMの前方向へのベクトルを逆手に取る。

 PK獲得につながった51分の山田雄士のランニング、そして70分の垣田裕暉の得点をアシストした瀬川祐輔の動き出しは、いずれも横浜FMの裏のスペースを狙った形だった。後半アディショナルタイムの4点目も、相手の背後を突いたカウンターから生まれている。

 第1戦は敵地で4−1の快勝。柏は大きなアドバンテージを握って、ホームでの第2戦に臨むことになった。対する横浜FMが次のラウンドに進むためには、日立台で3点差以上の勝利が必要となる。

勝負の第2戦。柏が思い描いた理想のシナリオとは

 「相手からすると立ち上がり、早めに1点を取りたいはずですし、前がかりになるのは予想できるので、そこはその圧に飲まれないようにしたい」

 これは第2戦の2日前に聞いた古賀太陽の言葉である。古賀をはじめ、多くの選手たちが、第2戦のカギとして挙げていたのが“背後”や“裏”というワードだった。

……

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Profile

鈴木 潤

2002年のフリーライター転身後、03年から柏レイソルと国内育成年代の取材を開始。サッカー専門誌を中心に寄稿する傍ら、現在は柏レイソルのオフィシャル刊行物の執筆も手がける。14年には自身の責任編集によるウェブマガジン『柏フットボールジャーナル』を立ち上げ、日々の取材で得た情報を発信中。酒井宏樹選手の著書『リセットする力』(KADOKAWA)編集協力。

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