「自分にとって幸せなサッカー人生とは何か」から導き出した1つの答え。瀬川祐輔が柏レイソルに、日立台に帰ってきた!

太陽黄焔章 第25回
この6月。J1で堂々と首位争いを繰り広げる柏レイソルに、3人の新戦力が加わったが、その中で唯一の“復帰”となったのが、川崎フロンターレから移籍してきた瀬川祐輔だ。2019年のJ2優勝とJ1復帰を主力として支え、サポーターから素敵なチャントを送られるなど、誰からも愛された男の帰還は、間違いなく日立台を今まで以上に熱く燃やしてくれることだろう。
4年ぶりに日立台へ帰ってきた瀬川スマイル
新戦力でありながら、まったくその雰囲気を感じさせない。古賀太陽も「ずっとこのクラブにいるような感じですね」と笑みを浮かべながら話す。
FIFAクラブワールドカップ2025開催により設けられた特別移籍期間に、柏レイソルは、北海道コンサドーレ札幌から馬場晴也、アルビレックス新潟から小見洋太、川崎フロンターレから瀬川祐輔、3名の新戦力を加えた。
彼らは6月9日にそろって合流を果たした。その様子はクラブ公式のYouTubeチャンネルで公開されているが、馬場と小見が新しい環境に慣れない様子を見せているのに対し、約4年ぶりの復帰となった瀬川だけは、長らくこのクラブに在籍しているかのような雰囲気を漂わせていた。12日の取材日に瀬川から話を聞いてみると「知らない人が少ないですし、あまり緊張感がないですね」と、以前と変わらず屈託のない笑顔を見せた。
自分にとって幸せなサッカー人生とは何か。
それを考えたとき、瀬川には漠然とだが思い描く二つのシナリオがあった。ひとつが川崎フロンターレに在籍し続け、主力として活躍し、現役生活を全うすること。そしてもうひとつが古巣の柏に戻り、同じく選手としてのキャリアを終えること。その二つのストーリーを思い描いていた。
しかし後者に関しては、古巣からの復帰要請がない限り実現は不可能だった。したがって当初瀬川は、川崎でキャリアを終えることを現実的な目標として捉えていた。
プロキャリアの中でもっとも難しかった移籍の決断
それが6月の特別移籍期間に柏からオファーが届いたことで、後者も現実可能な目標に変わったのである。
川崎も柏も、瀬川にとっては特別なクラブ。瀬川はこれまで、ザスパクサツ群馬、大宮アルディージャ、柏、湘南ベルマーレ、川崎でプレーをしてきたが、今回の移籍の決断がもっとも難しかったという。
「今まではチャレンジの気持ちが強かったです。今回ももちろんチャレンジですけど、フロンターレでもチャレンジできるチャンスがあったし、レイソルでもチャレンジができると思いました。そのチャレンジを含めてですけど、チャレンジだけじゃない移籍は今回が初めてです。自分はここで活躍して、居られるまでいたいし、レイソルのために戦いたい。年齢的に移籍を何回もできるわけではない。自分の幸せはJ1に居続けることだし、それがレイソルにずっと居られればいいんじゃないかなと思います」
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Profile
鈴木 潤
2002年のフリーライター転身後、03年から柏レイソルと国内育成年代の取材を開始。サッカー専門誌を中心に寄稿する傍ら、現在は柏レイソルのオフィシャル刊行物の執筆も手がける。14年には自身の責任編集によるウェブマガジン『柏フットボールジャーナル』を立ち上げ、日々の取材で得た情報を発信中。酒井宏樹選手の著書『リセットする力』(KADOKAWA)編集協力。