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浦和とクラブW杯初戦で激突!覚えておくべきリーベルのキーマンたちと、対照的なボカの信頼を取り戻す戦い

2025.06.08

EL GRITO SAGRADO ~聖なる叫び~ #17

マラドーナに憧れ、ブエノスアイレスに住んで35年。現地でしか知り得ない情報を発信し続けてきたChizuru de Garciaが、ここでは極私的な視点で今伝えたい話題を深掘り。アルゼンチン、ウルグアイをはじめ南米サッカーの原始的な魅力、情熱の根源に迫る。

footballista誌から続くWEB月刊連載の第17回(通算176回)はFIFAクラブワールドカップ2025に挑むアルゼンチンの2大クラブ、617日(日本時間28時キックオフ)のグループE1節で浦和レッズと対戦するリーベルプレートと、今大会で名誉挽回を期すボカ・ジュニオルスの最新事情をお伝えしたい。

リケルメ会長に容赦ない非難、監督交代は吉と出るか?

 信頼回復を求める者と、栄冠への道を探求する者――。6月14日に開幕するFIFAクラブワールドカップに出場するアルゼンチンの2大クラブ、ボカ・ジュニオルスとリーベルプレートは、奇しくもまったく異なる状況下で大会を迎える。片や新監督の船出とともに、今年唯一となる国際タイトル獲得の舞台に懸けるボカ。片や確固たる指揮官の下、今年の目標をコパ・リベルタドーレス優勝に絞り、クラブW杯をそれに向けた「重要な通過点」として冷静に見据えるリーベル。それぞれを取り巻く背景が、この大会の様相をより興味深いものにしている。

 エディンソン・カバーニ、マルコス・ロホ、アンデル・エレーラという、経験、知名度ともに群を抜く選手を擁しながら、かれこれ2年以上も無冠の状態が続くボカ。去る4月29日、それまで監督を務めていたフェルナンド・ガゴが解任され、6月2日に新監督としてミゲル・アンヘル・ルッソの就任が発表されたばかりだ。

 ガゴ前監督の勝率は63%と、数字だけを見れば決して悪くはなかったが、2月にコパ・リベルタドーレスのプレーオフで敗退し、本戦となるグループステージに参戦できなかった時からサポーターの不満が爆発。それでも指揮を続けていたが、4月27日に行われたリーグ戦で宿敵リーベルに敗れたことからチーム内外の空気が一変。ガゴ監督は退任を余儀なくされ、同時にサポーターの怒りの矛先はフアン・ロマン・リケルメ会長にも向けられた。

 2019年12月にクラブの副会長に就任し、4年後には会長に当選したリケルメは、サッカー部門の実質的な最高責任者としてトップチームのマネージメントを担っているが、その手腕に疑問を呈する声は日に日に増している。彼が現在の役職に就いてからの6年間で監督解任はこれが実に6度目となり、チームはいつまでも安定感を得られず、今シーズンはコパ・リベルタドーレスどころかコパ・スダメリカーナまで出場圏外という結末を招くこととなってしまったのである。

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Profile

Chizuru de Garcia

1989年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。

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