“第3のMF問題”を解決できないレアル・マドリー。アンチェロッティも手詰まりか?
サッカーを笑え #24
絶対的な戦力を誇るはずのレアル・マドリーが苦しんでいる。リーガ第4節を終えて2勝2分は2位だが、首位バルセロナに4ポイント差と引き離されている。「修正点はわかっている」と言うカルロ・アンチェロッティ監督だが、わかっていても解決できないでいる。
彼の談話から推測すると、修正点は1つは守備時のインテンシティの低さ、2つ目はボール出しがスムーズに行えないこと。本稿では、この2つ目のボール出しについて考えてみたい。“第3のMF問題”とでも呼ぶべきものが起きているのだ。3トップは不動(左からビニシウス+ムバッペ+ロドリゴ)で、4バックも不動(同メンディ+リュディガー+ミリトン+カルバハル)で、MFは3人となるわけだがチュアメニとバルベルデが不動の中、3番目のMFが決まらない。
ここまでのリーガ4節、アンチェロッティは次の4通りのセットを試した(攻撃方向は↑、カッコ内は交代要員)。
■第1節:対マジョルカ(1-1)
ベリンガム
(ギュレル)
チュアメニ バルベルデ
(モドリッチ)
■第2節:対バジャドリー(3-0)
※ベリンガム負傷(9月末復帰予定)
ギュレル
(モドリッチ)
チュアメニ バルベルデ
■第3節:対ラス・パルマス(1-1)
モドリッチ
(ギュレル)
チュアメニ バルベルデ
■第4節:対ベティス(2-0)
セバージョス
(ブラヒム)
チュアメニ バルベルデ
バルベルデは先発フル出場、チュアメニは第1節以外は先発フル出場で、トップ下に入るMFだけがコロコロ変わっている。
ベリンガムが負傷しなければどうなっていたか?はわからない。ベリンガムが不動だったのかもしれないが、マジョルカ戦の機能不全ぶりを見ればケガをしなくてもベンチに座らせる、ベリンガム先発でロドリゴをベンチに座らせるなどの手が打たれたかもしれない。
スコアだけだとバジャドリー戦のセットが最強に見えるが、内容は酷かった。カウンターを食らう一方でチャンスを作れず、先制点もバルベルデがFKを決めたもの。88分の2点目で突き放すまでは安心できなかった。
この試合で交代で第3のMFとなったモドリッチを次のラス・パルマス戦で先発させるも機能せず。最後にセバージョスを試してベティスに勝ちインターナショナルマッチウィークを迎えることになった。内容的にはこのベティス戦が一番良く、少なくともベリンガム復帰までの解決策が見つかったかと思われたが、試合後に全治2カ月の負傷が発見された。私が推す“クロースに最も近い男”でベティス時代から見守ってきたが、いつも肝心なところでケガをしてきた。本当に運がない男だ。
これで、アンチェロッティの苦悩と試行錯誤は続くわけだ。
第3のMF候補たちをクロースと重ねて見ていると…
……
Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。