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そしてテイラー・スウィフトは新ベルナベウを選んだ。レアル・マドリーが仕掛ける世界一のスタジアムビジネス

2024.06.10

サッカーを笑え #18

「世界一のスタジアムになるだろう」とフロレンティーノ・ペレス会長が宣言し、2019年に着工したサンティアゴ・ベルナベウの大規模改修プロジェクト。5月末には世界の歌姫がワールドツアーのスペイン公演を行った新本拠地で、レアル・マドリーはどれだけ儲けようとしているのか?

文化の中心地は…首都の名誉挽回

 テイラー・スウィフトがスペイン語で「マドリッド、ジ・エラズ・ツアーにようこそ!」と叫んだ瞬間が、レアル・マドリーの新スタジアムを使った収益活動の本格スタートだった。ウォーともギャーともつかない叫び声で応える大観衆は6万5000人。実は彼女が2011年に初めてマドリッドを訪れた際には4000人しか観客が集まらなかったのだが、オープニング曲の『It’s been a long time Coming』同様、時は流れたのである。

 このアメリカの歌姫のコンサート招致に成功したことは、首都の名誉挽回の意味もあった。スペインで文化的に最もゴージャスな街はバルセロナである。大都市ながらビーチもあるし、ガウディの建造物もあるし、ピカソ美術館もある。この点マドリッドは大きいだけで美しくはない、と私も思う。マドンナ、ブルース・スプリングスティーン、エルトン・ジョン、ビヨンセ、コールドプレイは首都を素通りしてバルセロナでコンサートを行った。その気持ちも感覚的に理解できる。……

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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