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「解決策はチームの中にしかない」。大谷秀和と栗澤僚一、“タニクリコーチ”が捉える柏レイソルの現状と改善点

2023.07.24

太陽黄焔章 第2回

柏レイソルの苦境は続く。ネルシーニョ前監督から井原正巳監督にバトンは託されたものの、新指揮官はいまだにリーグ戦の勝利を掴めていない。勝てそうな試合も、終盤の失点で手にすべき勝ち点を零し、現在は17位と残留争いの真っ只中だ。そんなチームを冷静な視点で見つめるのは、今シーズンから再びコーチとしてタッグを組むことになった、大谷秀和と栗澤僚一の“タニクリコンビ”。現役時代からそのサッカー眼に定評のあった2人の言葉を、柏フットボールジャーナルでおなじみの鈴木潤が集めた。

勝ちきれない井原体制の未勝利は続く……

 第21節を終えて、柏レイソルは勝点14の17位に沈んでいる。ここまでの勝利はわずか2勝。井原正巳監督の就任以降、いまだリーグ戦では勝ち星がなく、最後に勝利を挙げたのはネルシーニョ前監督指揮下の第11節の湘南ベルマーレ戦が最後となっている。

 「前半45分を見たときに、自分たちがすごく劣勢だったかと言われたらそういうわけじゃないし、後半も途中で1人が退場になって苦しくなりましたけど、チャンス自体は作れていた」

 これは前節のガンバ大阪戦後の松本健太のコメントである。G大阪戦では、立ち上がりの11分に先制を許したものの、21分の細谷真大の得点で同点に追いついた後は拮抗した展開へと持ち込んだ。しかし後半開始早々の46分に、自分たちのスローインミスが引き金となってG大阪に勝ち越しを許すと、66分の椎橋慧也の退場でさらに苦しい状況に追い込まれた。柏は1−3で敗れ、またしても勝利には届かなかった。

J1第21節ガンバ大阪対柏レイソルのハイライト動画

 問題は、こうした試合がG大阪戦だけに限らないことである。

 今季の柏は、試合開始早々と後半アディショナルタイムの失点が非常に多い。第17節の横浜F・マリノス戦や第20節の湘南戦のように90分を迎えた時点でリードを保ち、勝利まで目前に迫った試合もあった。だがアディショナルタイムに入り、横浜FM戦では2失点、湘南戦では1失点を喫した。

 第16節の北海道コンサドーレ札幌戦でもアディショナルタイムに入ってから勝ち越された。試合開始早々の失点で相手に主導権を握られ、そこから盛り返して勝利に近づいたとしても、終了間際の失点で掴みかけた勝点を落とす。そんな試合が続いている。

大谷秀和コーチが感じる「選手一人ひとりの意識改革」の必要性

 こうした現状について、トップチームでコーチを務める大谷秀和と栗澤僚一に話を聞いた。……

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Profile

鈴木 潤

2002年のフリーライター転身後、03年から柏レイソルと国内育成年代の取材を開始。サッカー専門誌を中心に寄稿する傍ら、現在は柏レイソルのオフィシャル刊行物の執筆も手がける。14年には自身の責任編集によるウェブマガジン『柏フットボールジャーナル』を立ち上げ、日々の取材で得た情報を発信中。酒井宏樹選手の著書『リセットする力』(KADOKAWA)編集協力。

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