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トレンドは右SB兼CB。オランダ3大クラブで存在感を示す若手たち

2020.10.17

 オランダの3大クラブで今、CBと右SBを兼任できる若手DFが貴重な戦力になっている。

主力を務めるテゼとヘルトラウダ

 PSVのヨルダン・テゼ(21歳)は、プレシーズンでロジャー・シュミット監督から与えられたチャンスを生かし、CBとしてフル出場を続けている。PSVリザーブチーム(オランダ2部)でプロデビューを飾った時の彼は主にCBだったが、2年目の2018-19シーズンは右SBとしてオランダ2部で3ゴール6アシストという数字を残した。

 俊足、攻撃参加の実効性、守備者としての多機能性といったテゼのプロフィールはシュミットが目指すハイラインのプレッシングサッカーに適合し、瞬く間にレギュラーポジションを勝ち取った。開幕戦のフローニンゲン戦でマーレンが決めたチーム2得点目は、テゼのボール奪取が起点となり、スピーディーに攻め切る理想の形だった。

 フェイエノールトのルチャレル・ヘルトラウダ(20)は守備的MF、右SB、CBをこなすオールラウンダー。昨季は右SBに専念し、オランダリーグで17試合、UEFAヨーロッパリーグで4試合プレーした。今季の開幕前は、フェイエノールトの右SBレギュラー最有力候補と目されていた。

 しかし、開幕直後のフェイエノールトはCBが駒不足。ボテギンを出場停止で欠いた開幕戦のズウォレ戦ではCBに抜擢され、2-0の勝利に貢献した。第2節のトゥエンテ戦(1-1)では右SBとして先発し、ボテギンが負傷退場したため再びCBを任されると、第3節のデンハーグ戦(4-2)ではCBとしてフル出場した。この試合でのヘルトラウダはミスから相手に先制点を許したが、セットプレーから初ゴールを決めてミスを帳消しにした。

 その後、フェイエノールトはCBスパイッチを補強したことから、今後、ヘルトラウダの主戦場は右SBになるだろう。

マルチにこなすティンバー

 ユリエン・ティンバー(19)は18-19シーズン、アヤックスのリザーブチーム(オランダ2部)でプロデビューした。当時のアヤックスリザーブはデスト(現バルセロナ)、ボトマン(現リール)、バッカー(パリ・サンジェルマン)、スフールスなどがおり、ティンバーはチーム事情に応じて右SB、CB、左SBをこなしながら、U-19チームでもプレーして出場機会を増やした。

 昨季はアヤックスリザーブで主にCBとしてプレー。1月のヘーレンフェーン戦でオランダ1部デビューを飾った。

 今季のティンバーは、開幕戦のスパルタ戦(1-0)の試合終盤に右SBとして出場。第3節のフィテッセ戦(2-1)では、肩を痛めたCBスフールスに代わって31分から登場し、翌節のフローニンゲン戦(0-1)でも非凡なところを見せた。

 オランダの強豪チームにとって、DFラインの背後に生まれるスペースをどうカバーするかは共通の課題である。その解決策の一つとして、スピード感あふれる右SB兼CBの若手が同じタイミングで出場機会をつかみ始めている。


Photo: Getty Images

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PSVアヤックスフェイエノールト

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中田 徹

メキシコW杯のブラジル対フランスを超える試合を見たい、ボンボネーラの興奮を超える現場へ行きたい……。その気持ちが観戦、取材のモチベーション。どんな試合でも楽しそうにサッカーを見るオランダ人の姿に啓発され、中小クラブの取材にも力を注いでいる。

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