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オランダリーグ打ち切り。個人タイトルの面子に見える傾向

2020.04.30

 すでに多くの日本メディアでも報道されているように、今季のオランダリーグは第26節をもっての打ち切りが決定した。

1位アヤックス、2位AZで終了

 激しい優勝争いを繰り広げていたアヤックスとAZはともに勝ち点56で並んでいた。従来のルールなら得失点差でアヤックスの優勝だが、未消化試合が多い中、「当該チーム同士の勝敗で順位を決めるべし。すなわちアヤックスに2勝したAZの優勝」という意見も出始め、オランダサッカー協会(KNVB)の裁定が注目された。

 結局、「今季は優勝チームなし。しかし1位はアヤックス」という結論に達した。こうしてアヤックスのUEFAチャンピオンズリーグ本戦、AZのCL予備戦、フェイエノールト、PSV、ウィレムⅡのUEFAヨーロッパリーグ出場が決まった。1部リーグと2部リーグ間の昇降格はない。

 こうした決定に不服を持つクラブは複数あり、裁判に訴える可能性もあるが、いずれにしても今季のオランダリーグ打ち切りに関しては100%決まったこと。仮に裁判で欧州カップ戦出場チームが変わったり、昇降格で何らかの動きがあったりしても、試合そのものはもうない。

 ある日本人選手は「ようやく今季の結論が出てホッとした。新シーズンに気持ちを切り替えます」と安堵の声を漏らしていた。

ベストイレブン、採点上位は渋い面子に

 今季のオランダリーグ打ち切りが決まって間もない4月23日、全国紙『アルヘメーン・ダッハブラット』は個人タイトルを発表した。

 ベストイレブンは下記の通り。

GK ドロメル(トゥエンテ)
DF スベンソン(AZ)、ホルメン(ウィレムⅡ)、ブリント(アヤックス)、ワインダル(AZ)
MF ジョンチ(ウィレムⅡ)、ミチュー、コープマイナース(ともにAZ)
FW ジエク(アヤックス)、ボアドゥ、ステングス(ともにAZ)

 「なるほど、オランダリーグらしいなあ」とうなってしまうのが3トップの華やかさ。リーグ屈指のアタッカー、ベルフハイス(フェイエノールト)は今季、デッサース(ヘラクレス)とともに15ゴールを挙げて得点王を分け合ったが、それでもベストイレブンから漏れてしまうほどの層の厚さだった。

 ところが中盤の面々を見ると、ガラリと印象が変わる。この3人のMFに共通しているのは、中盤でのボール奪取やタックル成功率の高さである。ジョンチとミチューはボールを奪ってからスプリントで敵陣に侵入するなど、惜しみなく働くことのできる選手。一方、コープマイナースはゲームコントローラータイプだ。オランダリーグのMFとしては、かなり渋い面子になった。

 「渋い」という言葉は、今季のオランダリーグのキーワードになるかもしれない。採点ランキングのトップ5には、ベストイレブンのCB 2人とMF3人が選ばれた。

1位 ブリント(アヤックス)    6.88(20試合)
2位 ジョンチ(ウィレムⅡ)6.71(24試合)
3位 ミチュー(AZ)            6.68(22試合)
4位 ホルメン(ウィレムⅡ)6.67(26試合)
5位 コープマイナース(AZ)6.64(25試合)

 「最優秀選手」に選ばれたブリントはCB、SB、MFとして試合ごと、もしくは時間帯によって役割を変えることのできる賢い選手だ。ホルメンは高さがあって対人に強い、安定したCBである。

 ビッグリーグに比べてオランダリーグは、良く言えば攻撃的、悪く言えば大味な特徴を持つ。そんな傾向の中で、今季の『アルヘメーン・ダッハブラット』紙は“縁の下の力持ち”たちにスポットライトを当てていた。


Photo: Getty Images

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AZPSVアヤックスダニー・ブリントフェイエノールト

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中田 徹

メキシコW杯のブラジル対フランスを超える試合を見たい、ボンボネーラの興奮を超える現場へ行きたい……。その気持ちが観戦、取材のモチベーション。どんな試合でも楽しそうにサッカーを見るオランダ人の姿に啓発され、中小クラブの取材にも力を注いでいる。

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