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欧州16強に進出した“プレミア王者”。有望株がそろうそのチームとは?

2020.02.28

文 田島 大

 欧州の頂を目指し、イングランド勢がラウンド16でヨーロッパの強豪と相まみえる――。

 バイエルンやレアル・マドリー、ユベントスなどの名門がひしめく大会で、優勝候補に挙げられるイングランド勢が2つある。1つはリバプール。そしてもう1つは、昨シーズンのプレミアリーグ覇者にして、ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)問題に揺れる“あのチーム”だ。

 彼らはここまで圧倒的な攻撃力を見せつけて16強入りを果たした。“バルセロナの英雄”が掲げる華麗なパスサッカーで、相手の守備を見事に切り裂いてきた。チームのカギを握るのは、やはり“ウォーカーで”ある。ベスト8に進出できるかは、彼次第と言っても過言ではない。だからジャスティン・ウォーカー監督の采配から目が離せない……? 果たしてダービー・カウンティのU-19チームは、欧州の頂点に上り詰めることができるだろうか……??

リバプールとともに16強入り

 少し誤解を招いたかもしれないが、これはUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の話ではない。欧州No.1を決める大会には違いないが、筆者が取り上げたいのはU-19世代の王者を決めるUEFAユースリーグである。

 UEFAユースリーグとは、2013年に発足したU-19世代の欧州カップ戦で、CL出場クラブのU-19チームが同じフォーマットで競い合うものだ。2015年からは「ドメスティック・チャンピオンズ・パス」が設けられ、ユース世代の国内王者32チームも参加し、計64チームで競われている。

 今シーズンの同大会にイングランドから出場したのは、マンチェスター・シティ、リバプール、チェルシー、トッテナムのCL出場4チームと、昨シーズンの「U-18プレミアリーグ」を制したダービーである。その中でベスト16に残れたのは、リバプールとダービーの2チームだけなのだ。

 ご存知だと思うが、ダービーのトップチームはイングランド2部に所属しており、「元バルセロナ」のフィリップ・コクーが監督を務めている。1月にウェイン・ルーニーが加入したことでも話題になった同クラブは、現在リーグから「FFP違反」を指摘されており、勝ち点の剥奪処分が濃厚と言われている。

 そんなダービーのU-19チームが快進撃を見せている。彼らはベラルーシやアイスランドの王者チームを下すと、先日は決勝トーナメント進出を懸けてドルトムントと対戦し、見事3-1で勝利した。3月4日に行われるラウンド16ではオーストリアのRBザルツブルクと対戦する。

有望株がそろうチーム

 このダービーのユースチームは粒ぞろいだ。U-19イングランド代表DFリー・ブキャナン(18歳)やウィンガーのモーガン・ウィタカー(19歳)は、すでにトップチームデビューを果たしている。その他にもスコットランドやアイルランドの年代別代表プレーヤーがそろっており、まさに黄金世代と呼べる。

 トップチームに定着して中盤でルーニーと一緒にプレーしているMFマックス・バード(19歳)やU-21アイルランド代表MFジェイソン・ナイト(19歳)も、ドルトムント戦には出場しなかったが、UEFAユースリーグに出場できる年代なのだ。

 トップチームを率いるコクー監督も「若手の育成で有名なドルトムントを倒したのだから欧州中が驚いているはずだ。うちには素晴らしい才能がいる」と絶賛している。

 彼らの躍進の秘密は積極性にある。ダービーの若手選手たちは、相手がドルトムントだろうと決して臆さないのだ。ユースチームの練習における興味深い取り組みがクラブの公式HPに紹介されていた。映像を使った入念な分析を行う一方で、ミニゲームでは完全に自由にプレーさせる。それも単なるミニゲームではなく、ケージ(金網)の中でのミニゲームだ。息つく暇もない激しいプレーの連続の中で、テクニックと積極性が磨かれるようだ。

 そうやって揉まれた若い才能が、欧州最高峰の舞台に立っている。一方で、トップチームはプレミア昇格こそ難しいが、FAカップでは5回戦に進出しており、次は3月5日にルーニーの古巣であるマンチェスター・ユナイテッドと対戦する。

 3月の第1週は、ユースチームとトップチームの両方が重要な一戦に臨むダービーに注目したい。


Photo: Getty Images

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Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。