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コロナウィルスがスペインにも上陸。サッカー界の蜜月関係も明らかに

2020.02.02

 1月31日、スペインでもカナリア諸島で初のコロナウィルス感染者(ドイツ人観光客)が確認された。

 温暖な気候で人気の旅行先であるスペインでは、近年アジア、特に中国からの観光客が増えており、私の住む南部アンダルシアもビーチ、闘牛、フラメンコがそろっていて特に人気が高い。旅行者による国内での感染者発見は時間の問題だったと言える。

到着便にはサッカー関係者が搭乗

 「中国→スペイン」のルートで言えば、同じ1月31日に武漢から到着した帰国第一便に数人のサッカー関係者がおり、また単独帰国した男性も当地で少年チームの監督だったことで話題になった。彼らは中国サッカー協会とスペインサッカー連盟の共同プロジェクト、あるいはそれに付随した民間レベルのサッカー交流で派遣されている監督やコーチたちである。

 そのニュースを見て思い出した。

 3年前、セビージャで指導をしていた時、同僚に中国行きについて相談された。アンダルシア連盟が、滞在費、交通費すべて向こう持ちで、スペインの平均をはるかに上回る高給で監督とコーチを募集していた。必要な監督ライセンスであるレベル2と大卒の資格は私も持っているので、一緒に応募しようかと一瞬迷った。

 同僚からは「一生忘れられない経験になるから、絶対に行け!」と薦められたが、最後は家族のことを考え断念した。派遣地は中国全土で、確か80人の募集だったと記憶している。

中国との蜜月関係がクローズアップ

 また、現在武漢のプロチームである武漢卓爾足球倶楽部――これも監督とスタッフはスペイン人――がアンダルシアのマラガ近郊で合宿を行っている。ウィルス発生の中心地からの来西ということで騒がれたが、武漢から直接来たわけでなくイスタンブールと上海を回り、潜伏期間と言われる14日間を経過してのマラガ入りだったことで、拒否反応なども起こらず予定通りの生活を行っている。

 もっとも、ご存じの通り中国スーパーリーグの開幕は無期延期されてしまったので、2月11日までの滞在予定は延長されるかもしれない。

 この他、マドリッド郊外に中国の年代別代表クラスの少年たちを定期的に招いて強化するプロジェクトが両国合意の下で行われているし、クラブ単位で中国のスクールの子供たちを長期合宿に招く、というのはもう普通のことになっている。

 ご存じの通り、ラ・リーガのエスパニョールとグラナダは中国人オーナーだし、アトレティコ・マドリーのスタジアム名のライセンスを持っているのも中国企業だ。

 中国は観光客と選手を“輸出”し、スペインからテクニカルスタッフを“輸入”する。今回、コロナウィルスがそんな両国の蜜月関係を図らずとも明らかにすることになった。


Photo: Getty Images

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コロナウィルス中国感染者観光

Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。