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今後の生き残りに向けた実験的な試み。ドイツ3部クラブの新たな挑戦(後編)

2020.01.15

 ドイツ国内で2番目に株式上場を果たしたドイツ3部のウンターハヒンク。人口およそ2万5000人の小さな街に本拠を構え、バイエルンや1860ミュンヘン、アウクスブルクなど、近くにライバルがひしめくなか、資源の限られた地方の小クラブが打った次の一手が「マネージャーとしての監督」の養成だった。

 前回に続いて、提携先の『インターナショナル・フットボール・インスティチュート(IFI)』のフロリアン・カインツ教授が解説する現代サッカーのマネジメントについて見ていこう。

求められるのはリーダーではなくマネージャー

 現代の成功しているチーム経営者の特徴の1つに「チームを軸に動けること」が挙げられる。一昔前のドイツのサッカー界では、先頭に立ち、大声でチームを引っ張るような典型的なリーダーが求められた。だが、選手とスタッフを含めて数十人規模の組織を率いる現代サッカーのトップチームの監督には、チームを運営するマネージャーとしての能力が求められる。

 「メンバーを納得させ、目的地に向かってともに歩んでいくためには、チームとしての活動を軸に動かなければならない。論拠を明確にし、各メンバーが納得できるように説明できなければならない(チームビルディング。同時に、メンバー同士の衝突などの問題の兆候を事前に察知し、早い段階で対処を施すコンフリクト・マネジメントも必要となる。この能力は、現代の経営者にとって特に重要な能力だ」

 このように、チームのメンバーに“ビジョン”を示す能力と、内部での人間関係の軋轢に対処する能力が何よりも求められる。「加えて、チーム内の動機や精神的な状態に耳を澄ませることも重要だ。周囲から届けられる声にブレてはいけないし、厳格な命令を下すことなくチームを導くことが求められる(モデレーション)」

目標達成の基盤となる「共感力」

 チームをマネジメントするためには、上記の「チームビルディング」、「コンフリクト・マネジメント」、そして「モデレーション」の3要素がとりわけ重要となる。これらは非常にデリケートな作業が求められるが、そこで決定的な意味を持つのが「共感力」だ。

 メンバーの言い分を聞き取った上で、彼らを自分たちの進む方向性に納得させられるかどうか。そして、それができるメンバーかどうかを見極める作業が必要になるのだ。適切な人間をメンバーとしてチームに採用し、双方向のインタラクティブなコミュニケーションを行いながらビジョンを示すことで、ワンチームとなって目標を達成する。そのための基盤となるのが、メンバーの考えに「共感」し、理解する能力なのだ。

 リソースが限られるなか、今後の生き残りのために指導者養成に投資を行うウンターハヒンクの実験的な試みは成功するのか。現U-20ドイツ代表監督のマヌエル・バウム、サウサンプトン監督のラルフ・ハーゼンヒュットル、元レバークーゼンのハイコ・ヘルリッヒなど、ブンデスリーガで指揮を執った監督たちを輩出しているクラブだけに、その投資効果がどう出るのか、気になるプロジェクトになりそうだ。


Photo: Getty Images

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コーチングライセンスドイツマネージャー養成

Profile

鈴木 達朗

宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。

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