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カルチョメルカートがカオスに。イカルディ、ルカクらを巡る綱引き

2019.08.04

「構想外」を告げられたイカルディ

 「追放だ」(『ガゼッタ・デッロ・スポルト』)

 イタリアの地元メディアは2日、インテルのマウロ・イカルディがジュセッペ・マロッタGDから直々に戦力外通告を受けたことを一斉に報じた。

 各紙の報道によれば、マロッタGDとピエロ・アウジリオSD、そしてテクニカルマネージャーのガブリエレ・オリアーリはピネティーナでイカルディと会談。そしてマロッタが直々に来季の構想に入っていないということを確認し、「ローマとナポリからオファーが来ているから検討するように」と勧めたというのだ。もっともイカルディは「分かった」とは言ったものの、返事はなし。代理人も務める夫人でタレントのワンダ・ナラはモラハラを理由に訴える意思を見せているという。インテル残留か、もしくはユベントスへの移籍を希望するという姿勢を変えていないとされている。

 一方でユベントスは、インテルが獲得目標としていたマンチェスター・ユナイテッドのベルギー代表FWロメル・ルカクの“横取り”を画策しているとされている。『コリエレ・デロ・スポルト』は、ファビオ・パラティチSDがロンドンで交渉をまとめてきたとも報道した。実にねじれたこの状態。裏にはインテルとユベントス、もっと言えばマロッタとパラティチの確執が影響しているという見方もあるのだ。

ユーベとインテル、せわしない神経戦

18年にユーベからインテルへ移ったマロッタ。この“移籍”が遺恨を生んだ

 2人は強化部門の総責任者とその右腕として、ユベントス、いやその前のサンプドリア時代から師弟関係で仕事を進めてきた仲だ。

 しかし一般紙『ラ・レプッブリカ』は「マロッタがユーベを出ざるを得なくなって以来、両者は言葉を交わしていない」と報道。幹部の若返りのためアンドレア・アニェッリ会長がマロッタをクラブ内で孤立させてもパラティチは反対の様子を見せず、それどころか追い討ちを掛けてきたことをマロッタは恨んでいるとしている。「マロッタがインテルに行ってから数日も経たないうちに、イカルディ問題というナイフを使って切りつけてきた。長年の友情など一切顧みず、パラティチはワンダ・ナラにメッセージを送って狂わせた。そして不誠実にも、彼女はそれを直接マロッタに見せた。そこで関係は終わった」。

 つまりインテルがイカルディのユベントス移籍を拒んだり、ユベントスがルカクを横取りしようとしたのも、結局はこの2クラブの神経戦ではないかというわけだ。もっとも『ラ・レプッブリカ』は「メルカートで支配的な立場を演じているのは、結局はユベントス。ローマに美味しいトレードを持ちかけることで、エディン・ジェコの放出とインテル移籍の必要を潰した」とし、「最終的にイカルディのユーベ移籍を飲まざるを得なくなるのではないか」としている。

 しかし実はユーベもユーベで、別の神経戦をしている状態。パウロ・ディバラがルカクのとのトレードに納得していないというのだ。「このままであれば、マンチェスター・ユナイテッド行きを蹴ったディバラがイカルディと同じ扱いとなり、最終的にイカルディとのトレードが成立する可能性がある」などと報じている。

 オフシーズンはカオスである。


Photos : Getty Images

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インテルマウロ・イカルディユベントス移籍

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。