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ドイツのユニフォーム事情(2)手堅く、手広く投資をするナイキ

2019.08.04

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 前回は、ドイツ国内のアディダスとプーマというライバルブランドの関係にフォーカスしながら、国際企業としての動き方を追った。今回は、英米系のナイキ、アンブロがドイツ国内でどのような活動を行っているのか、見ていこう。

ブンデスリーガで契約クラブ最多のナイキ

 経営規模の大きさで、サッカー界ではアディダスと競合している米国のナイキ。ブンデスリーガの5クラブと契約しており、実質ドイツ国内のブンデスリーガのクラブとの契約数が最も多い。RBライプツィヒ(年間600万ユーロ=約7億1000万円、2024年まで)、ボルフスブルク(800万ユーロ=約9億5000万ユーロ、2026年まで)、フランクフルト(最大500万ユーロ=約6億円、2024年まで)、ヘルタ・ベルリン(400万ユーロ=約4億7000万円、2025年まで)、アウクスブルク(推定300万ユーロ=約3億6000万円、2021年まで)と、ブンデスリーガに定着したクラブに手堅く投資をしている印象だ。

 とりわけ、ボルフスブルクは女子サッカーでの存在感も大きく、今回のフランス女子W杯でも大々的にキャンペーンを打っており、女子サッカーでの露出を見込んでの投資と見ることもできる。また、優勝、CL出場やEL出場などそれぞれ出来高ボーナスで数100万ユーロの単位でオプション契約をつけていることから、RBライプツィヒへ提供している額はもっと大きなものと推定される。上昇志向が強いRBライプツィヒにとっては、基本的な契約額はもちろんだが、成績から得られるオプション契約の額が大きいほうが魅力的なのかもしれない。

伝統の人気クラブに投資のアンブロ

シャルケはアディダスからアンブロへとサプライヤーをチェンジ

 クラシックなサッカーファンにとっては懐かしのアンブロが注目したのは、いわゆる「トラディショナルクラブ」の一角だ。

 アディダスからスポンサー料の値下げという“屈辱”を提示されたシャルケは、すぐさまアディダスとの契約延長を拒否。1963年のブンデスリーガ創設から長らく続いてきた関係を解消した。2007年から2012年までナイキの傘下にあった老舗のアンブロは、2013年からは英米系のアパレルグループ『アイコニックス・ブランド・グループ』に買収され、高機能のスポーツ製品と同時に、レトロファン向けのストリートファッションブランドとしての顔も見せるようになった。このイメージに合ったクラブとして、昔から地元ファンに愛され続けてきたブレーメン(350万ユーロ=約4億2000万円、2023年まで)、シャルケ(推定800万ユーロ=約9億5000万円、2023年まで)、そして2部のニュルンベルクとの契約を結んでいる。

 今回は、英米系の外国ブランドがどのようにドイツ国内で展開しているのかを追った。ドイツ国内のブンデスリーガのクラブに広く投資をすることで、認知度を高めながら出来高オプションで金額を手堅く上げるナイキと、昔から巨大なファン層に支えられてきたクラブに“レトロ”というニッチを重ね合わせたアンブロという特徴が見て取れた。次回は、特殊な意図が見えるブンデスリーガクラブとブランドの関係を見ていこう。

→第3回へ続く


Photos : Getty Images

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Profile

鈴木 達朗

宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。