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続・スペイン八百長疑惑騒動。「はるか前から常に存在してきた」

2019.06.15

印象は“灰色ではなく真っ黒”

 5月31日のニュースでお知らせしたスペインの八百長事件。その後いろいろ動きがあったのでお伝えしたい。

 まず10人の逮捕者は保釈された。事件への関与が濃厚な者(ラウール・ブラボ、カルロス・アランダ、イニゴ・ロペス、アグスティン・ラサオサ、ボルハ・フェルナンデスら)は保釈金を積んだりパスポートを提出することで、薄い者は保釈金なしで裁判所の定期的な呼び出しに応じることで、一時的な帰宅が許された。

 警察と検察の捜査は継続中で、ブラボとアランダの豪奢な生活、疑惑のバジャドリー対バレンシアの前夜にブラボと、キャプテンのボルハを始めとするバジャドリー側の接触があったこと、ブラボ、アランダ、ボルハはいずれもレアル・マドリーの下部組織出身で、その関係が八百長交渉のルートだったことなどが、報道されている。ただし、これら保釈以外のニュースはメディア発で警察・検察側からの正式発表は、まだない。よってスペイン連盟も制裁などの動きは見せていない。疑わしきは罰せず、推定無罪の考え方からすると当然だろう。とはいえ、捜査関係者を情報源としていると見られる報道内容は極めて具体的で、“灰色ではなく真っ黒”という印象だ。

当事者イニゴ・ロペスはこう語った

 八百長が証明されれば、今季の降格を免れるかもしれないジローナ、昨季昇格していたかもしれないサラゴサは、法的手段を尽くすという声明を発表したが、すでに述べた理由で連盟は静観中。

 そんな中、唯一連盟が動いたのが、元ウエスカで現デポルティーボ所属のイニゴの選手資格を一時的に剥奪したこと。デポルティーボは12日に昇格プレーオフのマラガ戦を控えていたが、この試合にイニゴは出場できず、クラブは彼をグループ練習から外した。捜査継続中にもかかわらず、制裁措置が採られたのには、訳がある。イニゴが『エル・ムンド』紙の取材を受け、問題の昨季2部最終節ウエスカ対ナスティックで「事前協定」があったことを認めてしまったのだ。その協定とはナスティックの2部残留を決める勝利。1部昇格をすでに決め敗れても痛くも痒くもなかったウエスカは、わざと敗れた。

 その一方で、“敗者ボーナス”やオンライン・ブックメーカーを利用した金儲けなど、協定への一切のお金の関与を否定しており、仲の良いクラブ同士の、いわゆる“星の譲り合い”に過ぎなかったことを強調している。

「サッカーをした者、この世界に居た者なら、我われのはるか前から常に存在してきた行為であることを知っているはず」というイニゴの言葉が、新たにリーガを揺るがせている。

Photo : Getty Images

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イニゴ・ロペス

Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。