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各クラブの命運がかかる最終節。セリエAの残留争いはどうなる?

2019.05.25

18位ジェノアはイベントを延期に

 21日、ジェノバで予定されていたあるイベントの延期が発表された。「ジェノバのためにチームを作ろう」と題された、ジェノアとサンプドリアの歴代選手が集って行われるチャリティーマッチだ。昨年11月に発生した高速道路橋崩落事故を受けてのもので、シーズン後の5月27日に開催が決まってチケットの前売りもされていた。

 そんな大事なイベントが延期となった理由は、ジェノアがセリエAの残留争いに巻き込まれているためだ。第37節、ホームでカリアリ相手にドロー。「ジェノアは引き分けにふさわしくなかった」と敵将のロランド・マラン監督が認めるほどに健闘していたが、これで勝ち点37で降格圏の18位に転落。残留に向けて、最終節に命運を掛けることになった。

15位フィオレンティーナは絶不調

フィオレンティーナのモンテッラ監督はまさかの最終節ベンチ入り禁止

 その相手は、なんと勝ち点3差の40で15位に転落しているフィオレンティーナだ。最近5試合で5連敗、最後の勝利は2月17日のSPAL戦にさかのぼるという危機的状況である。ステファーノ・ピオーリ監督は成績不振を理由に3月で辞任し、ファンはオーナーのデッラ・バッレ家に対して毎試合のように抗議のデモを行う。これが若手で編成されたチームにとって助けにならず、どんどんパフォーマンスを悪くしていくという悪循環だ。

 さらに最終節は、ビンチェンツォ・モンテッラ監督のベンチ入り禁止処分が決まり、最悪のムードで残留への直接対決を迎えることになった。ジェノア相手にドローでまとめれば大丈夫であるとはいえ、追い込まれた状態のチームは不安定である。サポーターズグループは、どういう結果になろうとも試合後にはデモを行うと予告し、物々しい雰囲気になっている。

17位エンポリは意気揚々

トリノに快勝し、意気揚がる17位のエンポリ

 逆にこういう時は、戦力は乏しくても残留争いに慣れたチームの方が強いものだ。それが、勝ち点38を積み上げている17位のエンポリだ。負ければ後がないというプレッシャーの掛かる中で行われた第37節トリノ戦の前には、サポーターからの要望に従い、あえて前日練習を公開して士気を盛り上げた。その結果、試合は4-1と勝利。

 最終節の相手はインテルで、仮に敗れた上にジェノアがドローで終わった場合には直接対決の得失点差で不利になる。とはいえ、ムードはこの3チームの中ではここが最も良好だ。一度解任の憂き目に遭うも、シーズン終盤に再就任したアウレリオ・アンドレアッツォーリ監督のもとでチームは一体になっている。「あと1試合しかないというのが残念だ。チームには意欲があって、選手たちはもっと試合をしたがっている。サン・シーロでは、トリノ戦の再現を目指したい」と意気込んでいる。

 果たして、最終節はどうなるのか?

Photos : Getty Images

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エンポリジェノアフィオレンティーナ

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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