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34歳の元代表FWキャロルが選んだ新天地はフランスの「知らないクラブ」

2023.09.11

 34歳となった元イングランド代表FWアンディ・キャロルは今季から「知らないクラブ」でプレーする。

イングランド3部からフランス2部へ

 イングランドの次期エースとして期待されたことのある大型ストライカーもキャリア晩年を迎えている。ニューカッスルでプロ選手の道を歩き始めたキャロルは、193cmの長身と絶対的なフィジカル、そして強力な左足を武器にプレミアリーグのDFたちを震え上がらせてきた。そして2011年1月、当時の英国人選手の移籍金記録でリバプールに移籍した。

 しかし、フェルナンド・トーレスの後釜として期待された移籍金3500万ポンドの男は新天地で苦しんだ。リーグ戦44試合でわずか6ゴールしか奪うことができず、昨年行われたオンラインのアンケートではプレミアリーグ史上「最低の移籍」に選ばれるほど期待外れに終わったのだ。その後はウェストハムや古巣ニューカッスルでプレーするも輝きを取り戻すことはできず、2部のレディングに拾われた。昨季はチームが降格の憂き目に遭う中で、2部リーグで30試合に出場して9ゴール。実に11年ぶりにリーグ戦で30試合以上に出場した。

 そうして迎えた今季は3部リーグで開幕2試合にフル出場し、レディングで2部復帰を目指すものと思われた。だが、第2戦でPKを失敗したこともあって構想外に。そこで退団の道を選び、移籍市場最終日に海を渡った。彼が移籍先に選んだのはフランス2部のアミアンだった。そしてキャリア初の海外移籍を果たした翌日、キャロルはアミアンの本拠地のピッチに立っていた。

 背番号99を背負った長身ストライカーは、1-1で迎えた66分に投入されてリーグ2でのデビューを飾ると前線に君臨。得点にこそ絡まなかったが、しっかりと敵の注意をひいて攻撃を活性化させ、チームも元チェルシーのガエル・カクタのゴールなどで4-1の勝利を収めた。

「正直、知らなかった」

 「チームがゴールを決めて勝てるなら、自分が決めなくても満足さ」と、後日キャロルはフランスのメディアに語った。「ゴール数の目標などはない。そういう目標は自己中心的だと思う」と、34歳となったベテランは説明する。そして“サプライズ”に思われたアミアンへの移籍についても触れた。

 決め手の1つとなったのは同胞の存在だ。アミアンのスポーツダイレクターを務めるのはイギリス人のジョン・ウィリアムズなのだ。キャロルはこう話す。「イングランドのクラブを含め、いくつか選択肢があった。でもジョンと話したあと、すぐにフランスに飛んでクラブと街を見せてもらい『ここだ』と思ったのさ」

 とはいえ、フランス北部のソンム県にあるアミアンは2017年に初めてリーグ1に昇格した地方の小さなクラブ。3年前に降格してからは2部生活を送っており、あまりニュースになるようなクラブではない。そのためキャロルもスポーツダイレクターと話すまで、アミアンについて「正直、知らなかった」という。

 果たしてキャロルは「知らなかったクラブ」で再起を遂げることができるのか。フランスの2部でプレーする193cmの長身ストライカーに注目したい。


Photo: Getty Images

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アンディ・キャロルニューカッスルフェルナンド・トーレスリバプールレディング移籍

Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。

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