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ユナイテッドが環境破壊!? “超エコ”クラブが10分間のフライトを非難

2021.10.23

 10月16日に行われたプレミアリーグ第8節のレスター戦に2-4で敗れたマンチェスター・ユナイテッドが、試合内容や結果ではなく、移動手段で批判を浴びているという。

わずか10分間のフライト

 ユナイテッドは同試合、普段ならバスや電車で移動するレスターの会場までの160kmの道のりを、今回に限っては空路に切り替えた。高速道路の渋滞情報が入ったため、飛行機で移動したというのだ。マンチェスター空港からレスターに一番近いイースト・ミッドランズ空港までは、直線距離でおよそ80km。フライト時間はおよそ10分間だ。

 これの何が問題かというと、温室効果ガスの排出量である。『BBC』によると、一般的な移動手段の中で最も環境に害を及ぼすのが短距離の国内線だという。フランス政府などは地球温暖化対策として今年4月、「電車を使って2時間半以内で行ける距離の国内線」の運航を禁止する法案を出したほどだ。

 ユナイテッドも今年7月に再生可能燃料を提供する『リニューアブル・エナジー・グループ』社とパートナーシップを結んで「地球のためにサステナブルの意識を高めたい」と発表していただけに、批判は避けられなかった。

 それでも、今回に関しては「避けられない状況だった」と弁明し、「クラブの施設はすべてグリーン電力を購入」「6年連続でカーボントラストが定める基準をクリア」「12年連続で排出CO2の削減に成功」と、環境への配慮を主張した。

 これで一件落着かと思いきや、“世界一環境にやさしいクラブ”であるフォレスト・グリーン・ローバーズが黙っていなかった。イングランド4部リーグで首位を走る同クラブを所有するのは、『Ecotricity』という再生可能エネルギーを提供する企業の代表であるデイル・ビンス会長だ。

「特別な責任がある」

 2010年に同会長が経営権を取得して以降、フォレスト・グリーン・ローバーズはエコなクラブへと様変わりした。ユニフォームにはコーヒー豆のかすを再利用した生地を採用し、クラブの全電力に再生可能エネルギーを使い、スタジアムで提供する食事はすべてビーガン。さらに「エコパーク・スタジアム」という、世界初の木材100%のスタジアムを計画している。使われる資材はすべてサステナブルだという。

フォレスト・グリーン・ローバーズのユニフォーム生地はコーヒーのかすを再利用したもの

 こうして2018年に世界で初めてカーボンニュートラルのフットボールクラブとして認められたフォレスト・グリーン・ローバーズは、FIFAからも「世界で最も環境にやさしいクラブ」と称えられたことがある。だからビンス会長は、今回のユナイテッドについても黙っていなかった。

 「160kmなんてちょっとした移動なのに、本当にショックを受けた」と英国ラジオ局『talkSPORT』の番組に語った。

 「これまでフットボールは、選手やファンの移動、さらに国際試合もあるためエコではないとされてきた。最もやってはいけないことが短い移動をバスから飛行機に変えることなんだ。たとえM6(高速道路)が通れなくても、この国には他にも道がある。私はこれが緊急的な対応だとは思わない。事前に計画されていたことだと思う。160kmを飛行機で移動するなんてとんでもない。贅沢な環境破壊だと思う」

 すべての人が自分の行動に気を付けるべきだと主張するビンス会長だが、とりわけユナイテッドには大きな責任があると話す。

 「フットボールのクラブには特別な責任がある。特にマンチェスター・ユナイテッドほどの規模のクラブはそういう立場にある。彼らには、クラブの言動を参考にする何百万人というファンがいるのだからね」

 サッカー界も今後はエコが求められるし、それは私たちファンにも言えることなのだろう。


Photos: Getty Images

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マンチェスター・ユナイテッドレスター

Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。