NEWS

五輪はFIFAが認めない? ウルグアイの胸に輝く4つの星をめぐる騒動

2021.08.08

 去る8月2日、思いがけない報せにウルグアイサッカー界が騒然となった。同国の代表チームのユニフォームに輝く4つの星のうち、2つを削除するようにとFIFAから要請があったというのだ。

五輪優勝をなかったことに?

 ウルグアイサッカー協会(AUF)のエンブレムの上に付けられた4つの星は、過去、代表チームが世界チャンピオンになった回数を示す。1924年と1928年の五輪、そして1930年と1950年のW杯で勝ち取った4つのタイトルを意味するものだ。

 当時の五輪サッカーがFIFA主催で行われたこと、そしてFIFA自体がその2大会を「W杯誕生前にあった唯一の世界選手権」と認めたことを理由に、AUFは1991年にFIFAから承諾を得た上で、以後30年間にわたって代表のユニフォームに星4つを付けてきた。

 ところがこのたび、これについて突然「FIFAから物言いがついた」との情報が流れた。同国の『エル・パイス』紙が報じた内容によると、AUFの競技ディレクター、ホルヘ・カサレスの話として、代表チームのオフィシャルサプライヤーであるプーマを通じて「FIFAから星2つの削除要請があった」とのこと。2つの星とは「FIFA管轄の大会ではない五輪でのタイトル」を示している。

実際のところ削除要請は…

 このニュースはウルグアイ国内でたちまち広がり、人々から反発の声が上がった。元ウルグアイ代表メンバーで、44歳になった今も現役選手として活躍中のセバスティアン・アブレウは、自身のインスタグラムアカウントで「手で書いたものを肘で消すことはできない(一貫性の欠如を指摘するスペイン語のことわざ)。歴史が物を言う。尊重すべきだ」と訴え、同じく元代表のアルバロ・ゴンサレスもインスタグラムに「我われの栄光に触らないでくれ」と書き込んだ。

 また、同国の1部リーグに属するクラブ、プラサ・コロニアは、星の代わりに卵4個をつけたエンブレムの画像を公式アカウントに投稿した。

 卵はスペイン語で「タマ」、つまり度胸を意味する俗語で、ロシアW杯でフランス代表との準々決勝を控えたウルグアイ代表についてカルロス・ビアンチが言った「ウルグアイ人には2つではなく4つのタマがついている」との名言から着想した画像で抗議を表明し、話題を呼んだ。

 このニュースはウルグアイ国内に留まらず海外でも話題になったが、実際のところ、AUFは星の削除についてFIFAから何の通知も受けていない。

 AUFのイグナシオ・アロンソ会長は「(削除要請が)事実かどうかはFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長に直接確認する」と慎重な姿勢を見せており、ウルグアイサッカー史研究者協会の代表者を加えた三者会議を行い、30年前に世界タイトルに承認されたはずの1924年と1928年の五輪優勝について改めて確かめる意向を示している。


Photo: Getty Images

プレミア会員になってもっとfootballistaを楽しもう!

プレミア会員 3つの特典

雑誌最新号が届く

電子版雑誌が読み放題

会員限定記事が読める

「footballista」最新号

フットボリスタ 2022年9月号 Issue092

11、12月開催のW杯を控えた異例のシーズン。カタールをめぐる戦いの始まり【特集】ワールドカップイヤーの60人の要注意人物 【特集Ⅱ】ワールドカップから学ぶサッカーと社会

10日間無料キャンペーン実施中

TAG

アルバロ・ゴンサレスカルロス・ビアンチジャンニ・インファンティーノセバスティアン・アブレウ

Profile

Chizuru de Garcia

89年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。