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帰って来た”06ジャパン”のエース、徳田誉。鹿島ユースが生んだ大型FWの「強さ」と「柔らかさ」

2023.11.06

U-17W杯から占う日本の未来 #1

コロナ禍を経て2019年以来の開催となるU-17W杯が、11月10日にインドネシアでいよいよ幕を上げる。前回王者ブラジルをはじめとする24カ国が17歳以下の世界一を争うFIFA主催国際大会の最年少カテゴリーは、アンドレス・イニエスタからフィル・フォデンまでのちのワールドクラスが頭角を現してきた若手見本市。AFC U17アジアカップ優勝チームとして森山佳郎監督が招集した全員国内組の“06ジャパン”にとっては、18歳から解禁される国際移籍も見据えてその才能をビッグクラブにまで知らしめる格好の舞台でもある。逸材集団の登竜門への挑戦を見届けながら、彼らが背負う日本の未来を占っていこう。第1回はU-17日本代表の注目選手として徳田誉(鹿島アントラーズユース)にフォーカスする。

 インドネシアで行われるU-17W杯で躍進を目指す”06ジャパン”ことU-17日本代表。このチームの最大のストロングポイントは強力なFW陣だ。

 “ゴリさん”の愛称で知られる森山佳郎監督は21人のうち5人をFWで占めるという強気のメンバー構成に踏み切った。U-17アジアカップMVPの名和田我空(神村学園)、道脇豊(ロアッソ熊本)、高岡伶颯(日章学園)、井上愛簾(サンフレッチェ広島ユース)、そして徳田誉(鹿島アントラーズユース)だ。

関東大学選抜から2ゴールと好調アピール

 森山監督は「この年代はFWにいい選手が多くて、選べなかったけど選びたかった選手が複数いる」と前置きしながら、徳田の選出については「もともと、このグループでも中心でやっていた選手なので、帰ってきた」と語っており、揺るがない高い評価がうかがえた。負傷でU-17アジアカップに参加できなかったが、コンディションの見極めがポイントだったとわかる。

 徳田は186cmのサイズと高校生にして鋼のような肉体の持ち主で、同年代の試合で競り合いに負けることはほぼない。インドネシア行きを前にした関東大学選抜とのトレーニングマッチでも、1本目のスタメンに名を連ねた徳田は“Jリーグ予備軍”とも言える大学3年生が揃うディフェンスを相手に、前線で体を張って多くのチャンスにつなげる姿が印象的だった。

関東大学選抜とのトレーニングマッチの様子は6:54から。徳田は29番を背負って試合に臨んだ

 しかし、そうした体の強さだけに頼るプレースタイルではない。

 味方のパスに反応して動き出す意識が強く、関東大学選抜とのトレーニングマッチでもFC東京とプロ契約を結んだMF佐藤龍之介のスルーパスに抜け出しながら、右足のワンタッチでゴールに流し込んだ。また、この試合の2本目には相手GKのミスを突く形で、抜け目なく2点目を奪ってみせた。……

Profile

河治 良幸

『エル・ゴラッソ』創刊に携わり日本代表を担当。Jリーグから欧州に代表戦まで、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。セガ『WCCF』選手カードを手がけ、後継の『FOOTISTA』ではJリーグ選手を担当。『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(小社刊)など著書多数。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才能”」に監修として参加。タグマにてサッカー専用サイト【KAWAJIうぉっち】を運営中。