SPECIAL

NOアフロでも存在感は巨大。フェライーニIN「大きな国」中国

2019.08.29

山東魯能のマルアン・フェライーニ

名優たちの“セカンドライフ”

欧州のトップリーグで輝かしい実績を残した名優たちが、新たな挑戦の場として欧州以外の地域へと旅立つケースが増えている。しかし、そのチャレンジの様子はなかなか伝わってこない。そんな彼らの、新天地での近況にスポットライトを当てる。

from CHINA
Marouane FELLAINI

マルアン・フェライーニ

 194cmの長身にひと際目を引くアフロヘアーでプレミアリーグの人気者だったマルアン・フェライーニ。2019年1月、マンチェスター・ユナイテッドを退団し中国の山東魯能へ移籍した。移籍金は1040万ポンド(約15億円)、年俸週給23万ポンドはマンチェスター・ユナイテッド時代の倍となる金額だ。

 また、3月には11年プレーしたベルギー代表からも引退を表明した。ベルギーメディア『DH』のインタビューによると、「中国へ行ったタイミングで、代表からの引退を考えていた。難しい判断だったが、若い世代へ道を譲る時が来たと判断したんだ。次世代の選手たちは確かな技術とメンタルを持ち合わせている。彼らがベストを尽くして、未来を切り開いていくのを期待している」と語っている。

 中国でプレーし始めておよそ半年が経過。「中国は非常にフィジカルコンタクトが激しいリーグ。選手たちはよく走り、高い技術を持っている選手もいる。プレー強度はプレミアほどじゃないけど、戦術的には徐々に進歩している。中国はスポーツへの投資が素晴らしい。リーグは上位6チームの実力が拮抗していて、急成長しているね」と印象を口にする。

 気になるのが、欧州とは異なる文化や環境への適応面。彼の場合、驚いたのが国内リーグやACLでの遠征だという。

 「すべての遠征が海外旅行のよう。本当に遠いね。ACLでは日本、韓国、マレーシアへ遠征した。非常にタフなコンペティションだけど、とても興奮してもいるよ。国土が小さいベルギーの人たちは僕とムサ・デンベレが一緒にコーヒーを飲みに行っていると思っているみたいだけど、ムサに会うには3時間飛行機に乗らないといけないから(笑)。中国は本当に大きい国だよ」

契約まっとうを宣言

 今シーズンの成績は8月20日時点で、国内リーグで16試合5得点、ACLでは8試合4得点を記録している。中国デビュー戦となった3月1日の北京人和戦では、50分に味方の縦パスを受け反転してからの左足のシュートで決勝ゴールを決めている。本職のセントラルMFだけでなくCFでもプレーし、ターゲットマンとして活躍。中国でも空中戦で絶対的な強さを発揮している。

 「中国ではすべてがうまくいっているよ。山東魯能のスタッフやチームメイトは僕を大切にしてくれる。(加入前に)アフロヘアーを辞めていたけど、やっぱりそれで覚えられているね。文化的には大きな違いはあるけど、山東の人たちは僕らにとても優しくしてくれているよ」と充実感を示すとともに、「遠征が長いから旅行する時間が今はないけど、引退後には中国のいろんな場所を旅行してみたい」とも話している。

 レッドデビルズ(ベルギー代表の愛称)の戦友コンパニのアンデルレヒト復帰に沸く母国ベルギーでは、フェライーニがプロデビューを飾ったスタンダールへの復帰や、恩師ルチアーノ・ドノフリオがテクニカルディレクターを務めるアントワープへの加入待望論が出ている。

 だが、フェライーニは中国での生活を気に入ったようだ。

 「ベルギーへの帰国の可能性は閉ざしていないけど、今は中国の生活に満足している。2年半の契約をまっとうしたい」と宣言している。

Marouane Fellaini
マルアン・フェライーニ

(山東魯能)
1987.11.22(31歳) 194cm / 85kg MF BELGIUM

2006-08 Standard
2008-13 Everton (ENG)

エバートン時代、ティム・ケイヒルとゴールを祝うマルアン・フェライーニ
エバートン時代のマルアン・フェライーニ

2013-19 Manchester United (ENG)

マンチェスター・ユナイテッド時代のマルアン・フェライーニと香川真司
マンチェスター・ユナイテッド時代、金髪アフロのマルアン・フェライーニ

2019- Shandong Luneng (CHN)

山東魯能でプレーするマルアン・フェライーニ


Photos: Getty Images

footballista MEMBERSHIP

TAG

マルアン・フェライーニ山東魯能移籍

Profile

シェフケンゴ

ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。

RANKING