「毎日トレーニングしている代表チーム」。バルセロナとスペイン代表を成り立たせる「圧倒的語彙力」
新・戦術リストランテ VOL.131
footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!
第131回は、開幕から好調を続けるバルセロナを題材に、「個の力」とは何なのかを考える。ヤマル、ペドリ、ダニ・オルモ、クバルシらスペイン代表を多数擁し、今季はロドリも加わったバルセロナ。彼らの強さは、単純な技術やフィジカルだけではない。長い時間をかけて共有されてきた「同じ文法、同じ語彙」による圧倒的な連係力にある。毎日トレーニングしている代表チーム――。バルセロナの強さを「共通言語」と「語彙力」から読み解きながら、スペイン代表が世界の頂点に立った理由、そして彼らを倒すために必要な「新しい異色」を探る。
「個の力」って何?
3連勝、12得点2失点。リーガでバルセロナが上々のスタートを切っています。モウリーニョ新監督を迎えたレアル・マドリーも3連勝。二大巨頭が好調なのでシーズンの盛り上がりが期待できそうですね。
話は少し変わりますが、北中米W杯が終わって、日本にはもっと強力な「個」が必要だという主張がありましたが、スペインが優勝してみると「その場合の個って何?」という話になってきている気がします。
日本代表選手の大半が欧州クラブでプレーするようになりました。すでに日本はけっこうな選手輸出国です。ブラジルやアルゼンチンと比べれば桁が違いますが、世界の輸出国の上位に入るくらいにはなっています。
次の段階は欧州トップクラブに何人がレギュラーとしてプレーしているか。日本が敗れたブラジルに勝ってベスト8になったノルウェーはホーランド(マンチェスター・シティ)、エデゴー(アーセナル)、スルロット(アトレティコ・マドリー)の3人がいて、CLベスト16だったボデ・グリムトの3人もいました。2030年大会でのJFAの目標はベスト8ですから、ノルウェーのCLベスト16クラブ6人は1つの目安になるかもしれません。
ただし、単に良い選手がいるだけでは足りないのではないか、という疑問がスペインの優勝で出てきているのではないかと思います。スペインのような連係する能力としての「個」が重要ではないかということですね。
確かに個々のフィジカル、技術で抜群だったフランスでもスペインには勝てなかった。システムも戦術もスペインとフランスはほぼ同じです。逆にプレースタイルが似ている分、連係力の差が出たとも言えるかもしれません。
スペインの連係する個の能力の基盤はバルセロナです。いわば毎日練習している代表チーム。これは非常に大きなアドバンテージだと思います。
「ワールドスタンダード」の元
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Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。
