合言葉は「迷ったらGO」。アルビレックス新潟がピッチとスタンドの圧倒的一体感でつかんだホーム連勝の歓喜
大白鳥のロンド 第37回
デンカビッグスワンスタジアム全体が、鮮やかなオレンジの光に包まれる。明治安田J2リーグを戦うアルビレックス新潟は、開幕戦こそアウェイで敗れたものの、第2節、第3節とホーム連勝を達成。スタンドにはサポーターの歓喜の笑顔があふれた。「迷ったらGO」という指揮官のメッセージを体現する選手たちも、ピッチで躍動。上々のシーズンスタートを切っている。
28,949人と分かち合った約1年11カ月ぶりの「プラネタスワン」
試合終了の笛と共に、スタンドにオレンジ色の光が灯る。新潟が、待ちに待った瞬間だった。そのきらめきは、ホームで強いアルビレックス新潟の証だ。
ホーム戦のナイトゲームで勝利した際、行われるセレブレーション「プラネタスワン」が、約1年11カ月ぶりに、デンカビッグスワンスタジアムに戻ってきた。試合後、ピッチを一周して挨拶に回る選手たちも、手に手に「プラネタスワン」のペンライトを持ち、サポーターと喜びを分かち合う。オレンジの光に照らし出された誰もが笑顔で、それは幸せな光景だった。
明治安田J2リーグ第2節。アルビレックス新潟は、北海道コンサドーレ札幌に2-1で勝利し、今季初勝利を飾った。当日、8月15日は、お盆の帰省客もアウェイ客も、夏休みの子どもたちも足を運びやすい日程。さらに札幌には、昨季まで新潟の主将を務めた堀米悠斗が在籍している。
何より、新シーズンのホーム開幕戦とあって、スタンドの約7割を埋め尽くす28,949人が、ビッグスワンに集った。「38分の1試合ですが、やはりホーム開幕戦は別物。お披露目ですし、そこで『また見に行きたいな』と、心をつかむような試合ができれば」。船越優蔵監督は、試合前日の会見で、力強く宣言していた。
「迷ったらGO。行ってダメなら全力で戻れ」「でも感情が判断を上回らないように」(船越優蔵監督)
1週間前、アウェイでRB大宮アルディージャと対戦した開幕節は、0−1で敗れた。開始5分、人数をかけて攻め込んだが、カウンターを受けて失点。後半、交代カードも使いながら盛り返したものの、結果的に、その1点が勝負を分けた。
NACK5スタジアム大宮のビジター席を完売させた3,000人以上の新潟サポーターは、試合開始から「アイシテルニイガタ」でチームを鼓舞した。「すごかったですよ。試合を通して素晴らしかった。このチームは、本当に恵まれているとあらためて感じました」。この日、ベンチに控えていた主将の舞行龍ジェームズに出番はなかったが、次こそ、結果で応えようと誓った。
大宮戦で課題が見えたのは、試合の入りと、マイボールにしてからのロスト。大宮の守備対応がよかったこともあるが、ラストパスはなかなか通らなかった。
これを受け、選手が自発的に動く。舩木翔は舞行龍ジェームズに声をかけて、翌週、選手だけでミーティングする機会を持った。「J1昇格のために、練習から、求める部分は求めるし、違うところは違うと伝えられる集団にならないといけない。サッカーに対する声も必要ですけど、1個1個、いいプレーはみんなで褒め合って盛り上げながら活気ある練習をしようと。若手ももっと声を出してほしいと、舞行龍くんも言ってくれた」(舩木)。いつも指示を出す側の2人は、一方的にならないよう、若手の声も聞きながら意見をすり合わせた。練習から、ポジティブな声がどんどん出るようになった。

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Profile
野本 桂子
新潟生まれ新潟育ち。新潟の魅力を発信する仕事を志し、広告代理店の企画営業、地元情報誌の編集長などを経て、2011年からフリーランス編集者・ライターに。同年からアルビレックス新潟の取材を開始。16年から「エル・ゴラッソ」新潟担当記者を務める。新潟を舞台にしたサッカー小説『サムシングオレンジ』(藤田雅史著/新潟日報社刊/サッカー本大賞2022読者賞受賞)編集担当。現在はアルビレックス新潟のオフィシャルライターとして、クラブ公式有料サイト「モバイルアルビレックスZ」にて、週イチコラム「アイノモト」連載中。
