待たれるのは攻撃に変化を与えるキーマンの台頭。アルビレックス新潟は3年半ぶりのJ2をクラブ一丸で戦い抜く
大白鳥のロンド 第36回
掲げたクラブスローガンは「ONE GOAL,ONE ALBIREX」。2023年シーズン以来となる明治安田生命J2リーグを戦うアルビレックス新潟は、明確にJ1復帰だけを見据えて、準備を整えている。とりわけ躍動が期待されるのはFC町田ゼルビアから期限付きで加わった桑山侃士と、プロ2年目を迎えている笠井佳祐の02年世代コンビ。この2人がどれだけゴールに関われるかが、そのままアルビレックスの結果に直結してくることは間違いない。
取り戻した堅守をベースに、攻撃にも進化を
秋春制にシーズン移行する今季、アルビレックス新潟は、3年半ぶりに明治安田生命J2リーグで戦うことになる。クラブスローガンは「ONE GOAL, ONE ALBIREX」。アルビレックス新潟に関わるすべての人々が一丸となり、J1昇格というゴールを目指す。
J1昇格3シーズン目となった2025年は、シーズン途中の監督交代や選手の大幅な入れ替わりもあり、チームとしての方向性が定めきれないままに、リーグ最下位でのJ2降格が決まった。これを受け、クラブは新潟のOB選手であり、世代別日本代表監督を務めてきた船越優蔵氏を新監督に迎え、約半年間の特別大会となるJ2・J3百年構想リーグに臨んだ。
船越監督体制では、まず守備の整備に着手した。チームとして一体感を持って能動的に奪いに行き、素早くカウンター攻撃へと転じる。裏返された場合、全員で戻って守備ブロックを築き、粘り強く体を張ることを徹底した。
その甲斐あって、新潟が配されたWEST-Aグループでは最少失点に抑えることに成功。カテゴリーや試合数は異なるが、J1最多失点で終えた前年と比較し、守備の改善には手応えが見られた。リーグ全体では7位でのフィニッシュ。J1昇格を目指すうえでは伸びしろのある順位に終わった。
プレーオフ含む20試合で、22得点18失点。1試合1失点以下に抑えられた反面、半数以上の10失点がセットプレーからと、課題ははっきりとした。守護神バウマンを中心に、自陣ゴール前での耐久力は増したものの、押し込まれ続ければ、ファウルや被シュートのリスクは高まる。指揮官は「相手にシュートすら打たせないこと。そのためには、もう少し前でボールを動かしたい」と、今季のテーマを挙げた。
これに伴い、クラブは前線でボールを収められるFW桑山侃士(FC町田ゼルビアから期限付き移籍加入)と、ゲームメイク力に優れたMF前田椋介(愛媛FCから完全移籍加入)という即戦力2名を補強。昨季からの優先事項として背後を狙いつつも、相手陣内で相手を見ながら、いつ、どこを突くかという狙いの共有を進めている。
立ち上げからこれまでに行った練習試合4試合(うち1試合は非公開)では、新戦力も早速得点に絡むなど、着々とチームのアップデートは進んでいる。J1昇格に向け、攻撃に変化を与えることが期待されるキーマンを紹介したい。
「得点でアルビレックス新潟の勝利に貢献できたら」。収まるFW桑山侃士
「自分の強みは攻撃で、前で起点になるところと、ペナルティーエリア内で怖さを出せるところだと思う。得点という形で、アルビレックス新潟の勝利に貢献できたらいいなと思っております」。桑山侃士は、新体制発表会見での自己紹介通り、加入後の練習試合4試合で2得点をマーク。いずれもクロスにヘディングで合わせる形で、早速、得点力を示した。
FC町田ゼルビアから、出場機会を求めての期限付き移籍。身長184cmは、攻撃陣の中で最高身長であり、186cmのFWブーダの期限付き移籍後、新潟の前線に不足していた高さが加わった。ポストプレーには安定感があり、船越アルビで求められる「奪ってからの素早い攻撃」を繰り出す上でも、重要な役割を果たす。

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Profile
野本 桂子
新潟生まれ新潟育ち。新潟の魅力を発信する仕事を志し、広告代理店の企画営業、地元情報誌の編集長などを経て、2011年からフリーランス編集者・ライターに。同年からアルビレックス新潟の取材を開始。16年から「エル・ゴラッソ」新潟担当記者を務める。新潟を舞台にしたサッカー小説『サムシングオレンジ』(藤田雅史著/新潟日報社刊/サッカー本大賞2022読者賞受賞)編集担当。現在はアルビレックス新潟のオフィシャルライターとして、クラブ公式有料サイト「モバイルアルビレックスZ」にて、週イチコラム「アイノモト」連載中。
