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「他の惑星から来た」「“今”であり“未来”の選手」アンリやムバッペも驚くオリーセというフランスの新怪物

2026.07.09

2025-26シーズンにバイエルンで公式戦25ゴール28アシストを記録し、迎えた初参戦のW杯でも5試合5アシストと躍動する「怪物」2大会ぶり3度目の優勝を目指す“レ・ブルー”(フランス代表の愛称)の超強力攻撃陣を操るマイケル・オリーセである。イングランドで生まれ育った24フランスの「最重要選手」になるまでの軌跡、そして「他の選手とはまったく違う」静かなる天才の肖像を紹介したい。

代表レジェンドも「ワオ!」のレ・ブルー最重要選手

 開催中の北中米W杯、順当に準々決勝進出を決めた優勝候補のフランスで、圧倒的な存在感を発揮しているのが、攻撃的MFマイケル・オリーセだ。

 フランス代表のユニフォームで一番売れているのも『OLISE 11』のシャツで、スウェーデン戦での横っ飛びシュート(惜しくもポストを直撃)のシーンは、翌日の新聞のトップページを独占。フランスサッカーファンの間では今、ちょっとしたオリーセ旋風が吹いている。

 アメリカの『FOXスポーツ』で解説者を務めているティエリ・アンリも、オリーセこそが、今大会のレ・ブルーにとって「最重要選手」であるとマイクの前で断言していた。

 「MVPはキリアン・ムバッペだろう。彼は目に見える形で数字を上げることができる。しかしはっきりと言わせてもらう。最も重要な選手、それはマイケル・オリーセだ」

 パリ五輪のフランス代表監督として、オリーセを直接指導した経験を持つ彼の言葉だけに真実味がある。

 「彼のような選手をコーチできたなんて、指導者冥利に尽きる。彼は怪物だ。彼の見方は他の選手とはまったく違っていて、彼の目には、他の人には見えないものが見えている。そんなわけだから、自分が予測したような展開に進んでいかないと、その場から一瞬消えてしまうようなこともある。ほんの一瞬だけれどね(笑)」

 当時、トレーニング中にオリーセのプレーにびっくりさせられたことは何度となくあったそうだ。そのたびに思わず「ワオ!すごいっ!」と叫びそうになるのを監督という立場上グッと堪え、隣にいるアシスタントコーチたちと「おい、今の見たか?」とヒソヒソ囁き合っていたと、レ・ブルーのレジェンドはジョーク混じりに振り返っている。

 今大会での活躍ぶりを見てみると、初戦のセネガル戦(○3-1)ではムバッペの先制点をピンポイントのクロスでアシスト。次のイラク戦(○3-0)は同じくムバッペの先制点に加え、ウスマン・デンベレが決めた3点目もお膳立てした。

 ラウンド32のスウェーデン戦(○3-0)でも2アシストと、ここまで5アシストは大会トップ。1970年大会でペレがマークして、そこから半世紀以上も破られてこなかった大会最多アシスト記録の「6」を、24歳でW杯初出場の新星が更新しようという勢いだ。

「とても気が合う」ムバッペとのホットライン

 そしてこの「5アシスト」というのは、数字に現れた部分に過ぎない。今大会でのフランス代表の攻撃アクションには、ほぼ例外なく彼が絡んでいる。

 開幕戦では、オリーセをバイエルンと同じ右、デンベレをトップ下に置く形でスタートしたが、ディディエ・デシャン監督は後半から2人の位置を入れ替えると、それ以降オリーセを「10番」の役割として起用。ライン間でボールを受け、そこから決定的なパスが出せる彼が中央にいることで、ムバッペらアタッカー陣に供給されるチャンスの数は格段に増えた。

 阿吽(あうん)の呼吸で機能しているムバッペとの“ホットライン”だけでなく、デンベレを巻き込んでのトライアングルの形も、相手ブロックを崩す強力な一手となっていて、スウェーデン戦でムバッペが決めた先制点はこの3人の迅速なパス交換から生まれた。

 逆に、彼からの供給を防ぐことで、オフェンスの機能性が激減することを示したのがラウンド16のパラグアイ戦(○0-1)だ。

 相手はオリーセがボールを持つたびにダブルチームで前を塞いできた。その結果、ここまでの全試合で3点以上取ってきた超オフェンシブ軍団のフランスが、試合開始30分を過ぎてもシュート0本。後半の70分にデジレ・ドゥエが誘発したファウルからムバッペが決めたPKが決勝点となって辛くも勝利したが、今大会のレ・ブルーはオリーセこそが生命線であることが、あらためて浮き彫りとなった。

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Profile

小川 由紀子

ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。

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