サウダージの国からボア・ノイチ 〜芸術フットボールと現実の狭間で〜 #30
創造性豊かで美しいブラジルのフットボールに魅せられ、サンパウロへ渡って30年余り。多くの試合を観戦し、選手、監督にインタビューしてきた沢田啓明が、「王国」の今を伝える。
footballista誌から続くWEB月刊連載の第30回(通算208回)は、セレソン(ブラジル代表)に2-1で逆転負けを喫した日本代表を、ブラジルの国内メディアや評論家、代表OBはどう評価したか。
「世界の強豪に仲間入りをする日も近いだろう」
ブラジルメディアは、6月29日(日本時間30日)に行われたW杯ラウンド32のブラジル対日本について、多種多様な分析と評価を下した。
有力日刊紙『オ・エスタード・デ・サンパウロ』は、「日本は極めて良く訓練されており、森保一監督が思い描いたチーム戦術を優秀な外科医が手術を執り行う時にも似た正確な手順でやり遂げるチームだった。選手たちは豊かなスピードと豊富な運動量を備え、技術レベルもまずまず。前半ダニーロ(右SB)のパスを佐野海舟がインターセプトし、複数の選手が攻め上がったことでブラジルの守備陣が混乱。佐野の長距離ドリブル、さらにはミドルシュートを許してしまった。佐野のプレーは称えられるべきだが、ブラジル守備陣の対応があまりにもお粗末だった」と指摘。
「しかし、後半はカルロ・アンチェロッティ監督がフォーメーションを[4-4-2]から[4-3-3]へ移し、ビニシウス・ジュニオールとライアンをサイドへ張らせてハイクロスを多用する戦術に変更。日本はこれに対応策を見出すことができなかった。何人かの日本選手は長時間に及んだ守備に体力を根こそぎ奪われ、攻撃に出て行くためのエネルギーが残っていなかった」と試合を振り返った。
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Profile
沢田 啓明
1986年ワールドカップ・メキシコ大会を現地でフル観戦し、人生観が変わる。ブラジルのフットボールに魅せられて1986年末にサンパウロへ渡り、以来、ブラジルと南米のフットボールを見続けている。著書に『マラカナンの悲劇』(新潮社)、『情熱のブラジルサッカー』(平凡社新書)など。
