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小川の劇的ドロー演出ヘッドも偶然じゃない。日本が縁深きオランダとの真っ向勝負で破った「テクニックはあるがフィジカルが弱い」という定説

2026.06.19

VIER-DRIE-DRIE~現場で感じるオランダサッカー~#25

エールディビジの3強から中小クラブに下部リーグ、育成年代、さらには“オランイェ”まで。どんな試合でも楽しむ現地ファンの姿に感銘を受け、25年以上にわたって精力的に取材を続ける現場から中田徹氏がオランダサッカーの旬をお届けする。

第25回は、小川航基が2-2の劇的ドローを演出した強烈ヘッドも偶然じゃない。オランダ代表との真っ向勝負で、「テクニックはあるがフィジカルが弱い」という定説を破った縁深き日本代表選手たちの進化を、オランダメディアの反応や評価とあわせて読み解く。

「なんで日本は勝ちに行かなかったのか」の真意

 2度奪ったリードを追いつかれ、2-2の引き分けに終わったのだから、オランダにショックはあっただろう。W杯初戦、しかもF組本命同士の直接対決だったから、日本にとっても、オランダにとっても勝ち点1のスタートは悪くないはずだ。それでも試合翌日、オランダ人記者たちが「オランダは終盤、ぐらついていたのだから、2-2に追いついた後、なんで日本は勝ちに行かなかったのか」と私にメッセージを送ってきた。後半アディショナルタイム、日本には明らかに引き分けでよし、という空気が漂っていた。

 そこには両国のトラウマが透けて見える。まずはオランダ。2022年カタールW杯準々決勝、0-2のビハインドで迎えた83分、スーパーサブのボウト・ウェフホルストがヘディング弾で反撃の狼煙を上げると、後半アディショナルタイム11分にFKのトリックプレーからまたしてもウェフホルストが同点ゴールを決めた。しかし延長戦に入るとオランダの勢いは消え、まるでPK戦狙いのように時間を潰す。そしてあえなくオランダはPK戦で散った。当時の主力の1人は、北中米W杯を前に「アルゼンチン戦のような展開になったら、今度は攻める」とインタビューで答えた――。

 もちろんグループリーグの第1節と、一発勝負のトーナメントでは状況が違いすぎる。それでもオランダ人記者からすると、今回、日本がトドメを刺しに行かなかったのは「4年前の俺たちと一緒じゃん。もったいない」という思いだった。

 しかし我われにも2018年ロシアW杯の苦い思い出がある。強豪ベルギー相手のラウンド16で2-0とリードした日本は悲願のベスト8進出に大きく近づいたかに思えたが、あっさりと2-2に追いつかれてしまった。そして後半アディショナルタイムに得たCK。後から思えば、延長戦で仕切り直しすべきシーンだったのだが、勝ち越しゴールを狙った日本のプレースキックはGKティボー・クルトワにスッポリ収まり、そこから電光石火のカウンターを食らって決勝点を奪われた。あの「ロストフの14秒」のことを思うと、日本はうまいことオランダ相手に2-2のまま試合をクローズさせたと感じる。

思い出す堂安の言葉。「俺の武器は技術でもなんでもなく…」

 4年前のカタールW杯でドイツ、スペインを撃破し、世界を驚かせた日本はサイドアタックが武器だった。特に右の伊東純也、左の三笘薫の2人は日本代表のウイング史にも残る活躍を披露した。

……

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Profile

中田 徹

メキシコW杯のブラジル対フランスを超える試合を見たい、ボンボネーラの興奮を超える現場へ行きたい……。その気持ちが観戦、取材のモチベーション。どんな試合でも楽しそうにサッカーを見るオランダ人の姿に啓発され、中小クラブの取材にも力を注いでいる。

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