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自ら形を壊す強者たち――バイエルン対パリSG、“成熟したマンマーク”の最高峰決戦

2026.05.13

新・戦術リストランテ VOL.117

footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!

第117回は、バイエルン対パリSG第2レグ。オールコート気味のマンツーマン、流動化するポジション、そして“形”を壊しながら成立する組織。現代サッカーの頂上対決に凝縮された“成熟したマンマーク”は「未来」なのか、それとも「例外」なのか?

自らの形を崩しまくるマンマーク

 第1レグほどスペクタクルではなかった第2レグでしたが、なかなか興味深い試合ではありました。

 両者ともマンツーマンで決闘を挑んでいます。人につくプレッシングの守備を特徴としている同士ですけど、たぶん仕掛けたのはパリ・サンジェルマンの方ではないかと思います。

 どういうマッチアップになっていたかをまず見てください(下図)。

 パリSGのフォーメーションはいちおう[4-3-3]なのですが、マンツーマンでついた結果がこんな感じでした。ポイントはパブロビッチにデンベレ、キミッヒにビティーニャが完全に人を決めてマークしているところですね。これでバイエルンのビルドアップをかなりやりにくくさせていました。

 マルキーニョスもルイス・ディアスにほぼマンツーマン。右SBのザイール・エムリはスタニシッチをマークして高い位置まで出て行っていて、それによって空いているサイドにルイス・ディアスが流れていくと漏れなくマルキーニョスもついていく。

 流れの中でところどころマークは変わっていましたが、バイエルンのビルドアップ段階でパブロビッチ、キミッヒをしっかりとマークすることは変わらず。左のファビアン・ルイスもライマーにくっついた結果、ほぼ左側のタッチライン際にいました。

 パリSGの守備のフォーメーションはほぼないのと同じ状態。これがある意味奏功したのが開始まもなくの先制点です。

……

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Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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