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仲間が光を浴びるため、後ろでどっしり構える。ベガルタ仙台・韓浩康はその経験値と人間性でチームの絆を深める

2026.02.05

ベガルタ・ピッチサイドリポート第34回

頼もしいセンターバックが2026年のベガルタ仙台に加入した。韓国Kリーグ・水原三星ブルーウイングスから完全移籍となった韓浩康(ハンホガン)選手だ。2016年にモンテディオ山形に入団。ブラウブリッツ秋田ではJ3優勝、J2昇格に貢献した。東北は運命の土地なのだろうか。今年、不思議な縁に導かれてJリーグへ復帰。新たな戦いの舞台は杜の都・仙台だ。まもなく明治安田J2・J3百年構想リーグも開幕。仲間に信頼され、活躍を期待される韓選手へお話を聞いた。

不思議な東北のクラブとの縁。後輩たちを迎え入れる「常にウェルカム」なスタンス

――今日は『footballista』のインタビューです。よろしくお願いします。

「『footballista』、大好きなんです。韓国に行く前に購読していたので光栄です。サッカーの勉強になりますよね。以前は、林舞輝さんの記事をよく読んでいました。めっちゃマニアックなんですけど、僕は結構、そこから戦術やサッカーのトレンドを知るようにしていて、勉強になりました」

――ピッチ上だけではなく、記事を読むことでも学んでいるのですね。勉強家ですね。

「どうでしょう(笑)。でも、センターバックなので、やっぱり理詰めで考えるというか、論理的なところで守りたいという部分はあるんです」

韓浩康選手(Photo: Vegalta Sendai)

 (ここで、隣の部屋で取材を終えた荒木駿太選手が取材中の韓選手の様子を覗きに来た。)

荒木「おっす!」

「おっす!」

荒木「なんか、イケボの人がいるって、声が聞こえたので(笑)」

「そう?ほら、邪魔すんなよ(笑)」

――すでに仲良くコミュニケーションが取れていますね。今季加入して、キャンプも行われましたが、仙台の選手たちはどうですか?

「みんな、良い人たちばかりですよ。特に荒木駿太君が一番良い人です。みんなこうやって、僕のことをおちょくってくるので。僕は、もういつでもウェルカムですね。かかってこいよ!」

荒木「いや、怖い部分もあります(笑)」

「いえ、めっちゃ良い雰囲気でやっています(笑)」

 (荒木選手はニコニコしながら自室に引き上げた。)

――ベガルタ仙台のキャンプはいかがですか?

「キャンプはもっときついのかなと思ったんですが、開幕まで時間がないので、急激にコンディションを上げるというよりも、怪我に気をつけながらやっている感じはあります。その中でも選手たちはしっかりコミュニケーションを取りながら、『こういう時はこうしようね』みたいなことを随所で話しているので、すごく雰囲気が良いと思います」

――韓選手は一瞬でチームに溶け込んだのではないですか?

「そうですね。僕は結構陽気なタイプなので、いろんな人に積極的に話しかけに行きましたし、みんな良い人たちばっかりなので、すぐ仲良くなりました」

Photo: Idumi Murabayashi

――Jリーグでプレーするのは4年ぶりになります。改めてこれまでの経歴を振り返るとご出身は京都ですが、東北のチームにすごく縁がありますね。

「なんでなんですかね(笑)。僕もわからないですけど、何かあるのかもしれないですね。初めがモンテディオ山形で、その次がブラウブリッツ秋田。そういった時からベガルタ仙台というチームは、やっぱり東北の中で一番大きいクラブだと感じてました。ここで一回プレーしてみたいなとも思ってました。山形にいた時に、ユアテックスタジアム仙台に試合観戦に行ったこともありました」

――えっ?プライベートで観に来たのですか?

「はい。その時、仙台はJ1だったんですよ。J1の試合を生で見たいなと思いました。当時仙台の通訳兼マネージャーに、僕の幼なじみがいたんです。キムミンテさんがいた時の通訳で、李聖仁です。知っていますか?」

――もちろんです。

「その時から仙台はずっと見ていましたし、仙台には梁勇基さんもいましたしね。でも、どうして東北のクラブと縁があるのかは分からないですけどね」

――Jリーグでの所属クラブは山形、秋田、そして横浜FCですね。寒さにも慣れていますか?

「そうですね。韓国も寒かったですけどね。仙台は山形、秋田に比べたら雪は少ないんじゃないですかね。やっぱり山形、秋田は雪が降ると大変で、朝の日課は車の雪下ろしでした。雪かきもよくやっていました。人工芝で練習してたんですけど、雪かきしてもピッチを全面取れない時もありました。室内のフットサル場みたいなところで練習したこともありました」

Photo: Vegalta Sendai

「僕はこのクラブに必要とされている」心が動いた仙台からのオファー

――仙台に戻るタイミングで雪が少ないことを祈りましょう。今季、仙台に来るというのはどのような決断だったのでしょうか?

「どう言ったら良いかな……。実は、去年の時点で韓国でのシーズンは最後だったんですよ。僕は韓国籍ですが、元々在日なので、兵役にはつかなくて良いんです。しかし、今の法律では、韓国籍で3年以上韓国に滞在し、それ以降に営利活動をしてしまうと、徴兵の義務が課せられるんです。

 僕もこの年で1年半もの期間サッカーから離れてしまうと、もうほぼ引退だと考えた時に、韓国を離れて国外に出なければいけない。早い段階で動いていたんですが、ベガルタ仙台さんから早めにオファーを頂きました。

 その時チームはJ1昇格争い中。プレーオフに行くか、行かないかの真っ只中でした。来年どうなったとしても、『浩康の力が必要だから』と言ってもらいました。移籍の決断の上で、“僕はこのチームに必要なんだ”ということを感じられた部分が一番大きかったかもしれないですね」

――オファーが届いていた中で、昨季のベガルタ仙台はどのように見ていましたか?

「その話があった後の試合が、ホームで鳥栖に大逆転した試合(第34節)だったんです。やっぱりあのスタジアムの雰囲気、ファン、サポーターの熱狂的な応援があるので、『ここでプレーしたいな』と映像を見ながら思いました。チームとして、守備からしっかり入るチームなので、チーム一体で戦っているというイメージもありました。『自分がこの中に入ったら、こういうところで力を発揮できるな』というのは、映像を見ながら具体的にイメージしていた部分もあります」

――森山佳郎監督はかなり熱い方です。いろいろな言葉をかけられていると思いますが、実際にチームに入ってどのような方と感じていますか?

……

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Profile

村林 いづみ

フリーアナウンサー、ライター。2007年よりスカパー!やDAZNでベガルタ仙台を中心に試合中継のピッチリポーターを務める。ベガルタ仙台の節目にはだいたいピッチサイドで涙ぐみ、祝杯と勝利のヒーローインタビューを何よりも楽しみに生きる。かつてスカパー!で好評を博した「ベガッ太さんとの夫婦漫才」をどこかで復活させたいと画策している。

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