REGULAR

マンツーマンの強度は欧州最高?トレンドど真ん中のチェルシーが負けなくなった必然

2025.12.03

新・戦術リストランテ VOL.95

footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!

第95回は、CLリーグフェーズ第5節でバルセロナを3-0で撃破し、続くプレミアリーグでも首位アーセナル相手に数的不利に陥りながら引き分けたチェルシー。エンツォ・マレスカ体制2年目のチームは公式戦7戦無敗で、特に強い相手に強い。クラブW杯王者は25-26のCLでも優勝候補となっていくかもしれない。

バルセロナのゴールネットを“6回”揺らす

 CLリーグフェーズ第5節はアーセナルvsバイエルンの激突がありました。今季ここまでの欧州でおそらく最強の2チームでしょう。ホームのアーセナルが3-1で勝利しております。

 そのアーセナルがプレミアリーグ第13節でチェルシーと対戦。結果は1-1でしたが、チェルシーは34分にカイセドが退場になっていて10人でした。しかし1人少ないチェルシーが47分に先制、アーセナルは59分に同点としましたが試合内容はほぼ互角でした。

 三段論法でいきますと、バイエルンに勝ったアーセナルに10人で引き分けたチェルシーが最強ということになります。いや、チェルシーは今季のCLでバイエルンに負けているのでそんな単純な図式は成立しませんが、チェルシーが強いのは間違いないです。

 CL第5節ではバルセロナに3-0でしたからね。ちなみにバルセロナはアラウホが44分に退場になっていますが、最初からチェルシーが優勢で3回ゴールネットを揺らしています。1回目はハンド、2回目はオフサイドでしたが3回目は問題なく1-0でリード。バルセロナが10人になってからは2ゴール。1つオフサイドだったのを含めると、この試合で6回もゴールネットを揺らしています。

 リーグカップ4回戦のウルブス戦勝利から公式戦7戦負けなし。リーグ順位も3位につけています。首位アーセナルとは6ポイントの差がありますが、2位のマンチェスター・シティとは1ポイント差です。

 エース、パーマーを欠いての快進撃。エンソ・フェルナンデス、カイセド、ジェームズの中盤中央が強力です。今季加入した右ウイングのエステバン、バルセロナ戦でヤマルを完封してマンオブザマッチに輝いたククレジャなど、質の高い選手が揃っています。

中盤中央が全員強力。鬼気迫るマンツーマンの功罪

 [4-2-3-1]システムのトップ下にエンソというところがポイントかもしません。

……

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Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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