レバークーゼンとは異なるアプローチ。シャビ・アロンソのレアル・マドリーは若手とともに成長していくチーム?
新・戦術リストランテ VOL.82
footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!
第82回は、シャビ・アロンソ新監督が率いるレアル・マドリーの現状について。20歳のアルダ・ギュレルとディーン・ハイセン、18歳のフランコ・マスタントゥオーノを抜擢するなど若手の起用が目立っているが、全体の構造はレバークーゼンとは明らかに異なる。未完成ゆえの未知の可能性を感じさせるチームだ。
フェリックス・マガトがバイエルンの監督だった時、もう週末からブンデスリーガ開幕という段階で「我々の開幕は2週間先」と言っていた記憶があります。2週間だったか3週間だったかは定かでないのですが、とにかく開幕には全然間に合わないという話でした。
開幕しても移籍市場はまだ動いていますし、オフに代表戦があると主力のオフ期間がずれ込んできて開幕時点ではまだコンディションが整っていない。そういうわけで、ビッグクラブには開幕時点で仕上がっていない、ということがよくあります。
中央の6人が固定、残りの4人は競争
今季のレアル・マドリーもまだ「開幕」していないと思います。クラブW杯に参加したチームはそうなりますね。昨季序盤も獲得したムバッペの活かし方を探っている状態でスロースタートでした。
リーグ3試合を消化した時点で3戦全勝の首位。ここまでの起用の仕方から見て、チーム内の序列もけっこう決まっているように見えます(下図)。

3試合すべてにフル出場しているのはクルトワ、ハイセン、カレーラス、チュアメニ、バルベルデの5人。ほぼフルに近いエンバペを加えた6人がレギュラー確定組と見ていいでしょう。ギュレルもほぼレギュラー組ですね。直接的なポジションのライバルはセバージョスですが優先的に起用されています。
残りの4人は競争相手が強力です。アレクサンダー・アーノルドはカルバハルと競合、マスタントゥオーノにはブラヒム・ディアス、ミリトンとリュディガー、そして渦中のビニシウスとロドリゴです。
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Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。
