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「9番」上田綺世と「10番」セム・スタイン。フェイエノールトに名コンビ誕生の予感

2025.08.13

新・戦術リストランテ VOL.79

footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!

第79回は、渡辺剛も加わった上田綺世が所属するフェイエノールトのエールディビジ開幕戦分析。新加入のトップ下、セム・スタインと上田の2人には名コンビ誕生の予感が漂っている。

得点王&MVPのセム・スタイン加入

 エールディビジ開幕。3強のPSV、アヤックス、フェイエノールトは順当に勝利しています。昨季3位だったフェイエノールトは新加入のセム・スタインが3分にFKを決めて先制、55分には上田綺世が加点。NACに2-0でした。

 スタインは昨季リーグMVP、得点王も獲っていて、フェイエノールトに加入するやキャプテンを任されている23歳。これはかなり強力な補強になりそうです。

 名刺代わりの曲げて落とすFKも凄かったですが、上田とのコンビに期待が膨らみます。2人のプレーする距離が近いのが魅力ですね。

 9番(CF)と10番(トップ下)の関係性は濃密だろうと思いがちですが、意外とそうでもないケースが多い気がするんですよね。

 9番と10番のコンビでまず思い出すのが1970年W杯でのトスタンとペレです。古い事例で申し訳ないのですが、近い距離での連係という点でまず想起されるのがこの2人。トスタンは偽9番的なスタイルでした。というか、そもそも10番の選手なので、この時のブラジルはダブル10番システムです。

 その後、2トップ全盛になるとターゲットマン+セカンドトップという組み合わせが流行ります。ところが、2トップの名コンビというのがすぐに浮かんでこない。思い出さないだけで、たぶんいたはずなのですが、これというのが出てこない。1994年W杯のロマーリオ&ベベット、97年あたりのロマーリオ&ロナウド、クライファート&ベルカンプはあるのですが、そんなに多くはいないような。

……

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Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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