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絶好調の川崎フロンターレ。新システム「4-3-3」のメカニズム

2020.07.30

開幕戦こそドロー発進だったものの、J1再開後は6連勝。例年のスロースターターなイメージとは異なり、川崎フロンターレが好調だ。その要因の1つとなっているのが、昨季までの軸になっていた[4-2-3-1]から[4-3-3]へのシステム移行。モデルチェンジした鬼木フロンターレの戦術メカニズムを、自身のnoteで川崎に関するマッチレビューを執筆し続けているフットボリスタ・ラボメンバーのせこさんに解説してもらった。

[4-3-「3」]明確になったサイド攻撃の目的

 今まで川崎フロンターレの中盤の特徴といえば、高いテクニック水準を有するMFタイプをそろえる構成と、そしてショートパスを速いテンポで繋ぎ、ポジションチェンジを繰り返していくパスワークであった。

 高いボール支配率、人数をかけた攻撃で主導権を握るこのスタイルは破壊力抜群。一方で、このボール保持には問題点もあった。

 1つは、自由にポジションチェンジを繰り返すためボールロストの際、選手のポジションバランスが悪く、被カウンター時にDFラインが広大なスペースにさらされてしまうこと。即時奪回を掲げた鬼木達監督の下でやや見えにくくなった欠点ではあるが、昨季はボール保持の質が担保できず、再度この問題が浮上してきたのである。

 もう1つは、ボール付近に多くの味方が集まり過ぎてしまうこと。味方が集まるということは当然敵も集まってきてしまうため、打開すべきスペースが狭くなってしまう。いくら選手個人のテクニック水準が高いとはいえ、高難易度の狭いスペースでのボール回しを試み続ければ被カウンターの温床になる。

 さらに、崩しの段階で選手が集結し過ぎてしまい、肝心のペナルティエリアに人がいなくなってしまうという問題も。打開にリソースをかけ過ぎて、仕上げがおろそかになることもしばしば見られた。

 [4-3-3]にモデルチェンジするにあたり、まず整理したのは前線の選手の役割。とりわけ大外のWG(ウイング)の役割を、左右ともに明確にすることである。左はスペースのある状態でドリブラーである長谷川竜也が大外から仕掛け、右は昨季まで縦横無尽に、自由に移動することが多かった家長昭博が大外に固定される機会が増加した。

 あらゆる選手が自由にボールに寄ってくる従来のやり方とは異なり、WGの攻撃を補佐するのはSB+IH(インサイドハーフ)が基本。崩しの人数をかけ過ぎないように制御することで、サイドを突破しても中央に人がいないという今までの川崎によく見られた状況を回避することができるようになった。

 特にハマったのは、右の家長が大外からペナルティエリア内に巻いていく形で上げるクロス。このクロスにCFのレアンドロ・ダミアンに加えて逆サイドの長谷川が飛び込む形は序盤戦の得点パターンとなった。

 昨季までは組み立てで低い位置まで下りてくる場面が多かったダミアンはなるべくエリア内に固定。組み立てへの関与を減らし、点取り役に専念するとともに、相手の最終ラインを押し下げる役割でバイタルにスペースを作り出す。FC東京戦の先制点である大島僚太のミドルは、ダミアンの作り出す深さがベースとなった形だ。

 個人個人の役割を明確にし、ビルドアップやサイドでの崩しにおいて少人数の仕組みを確立することでエリア内に人数を確保する。これが今季の川崎の得点アップを支えるメカニズムである。

 攻撃陣は控えも充実している。細かい動き出しが優れている小林悠も負傷明けからいきなりエンジン全開。クロスに合わせる動きが抜群で、途中出場から得点を量産している。大卒ルーキーの三笘薫も途中出場から存在感を発揮。押し込まれている状況を個人で打開できる運ぶドリブルはすでに戦況を一変させる武器になった。7月26日の湘南戦ではプロ初ゴールも記録。早くもレギュラー争いに名乗りを上げている。

今季は点取り役に専念するレアンドロ・ダミアン

[4-「3」-3]高負荷を回避するローテーションと漂う覚醒の予感

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Jリーグ川崎フロンターレ

Profile

せこ

野球部だった高校時代の2008年、ドイツW杯をきっかけにサッカーにハマる。たまたま目についたアンリがきっかけでそのままアーセナルファンに。その後、川崎フロンターレサポーターの友人の誘いがきっかけで、2012年前後からJリーグも見るように。2018年より趣味でアーセナル、川崎フロンターレを中心にJリーグと欧州サッカーのマッチレビューを書く。サッカーと同じくらい乃木坂46を愛している。