SPECIAL

『UEFA Injury Study』で読む現代サッカーのケガの傾向

2020.04.11

昨今のサッカー界では、どれほどのケガが発生しているのだろうか。ここでは、その指標としてUEFAがCL参戦クラブの選手を対象に調査している『UEFA Elite Club Injury Study』レポートの2016-17シーズン版を参照、部位や原因、程度や頻度など、欧州クラブシーンにおけるケガの現状を医師でサッカー指導者でもある村山氏に読み解いてもらった。

 最初に、「ケガ」には、大きく分けて2つの種類があることを示しておきたい。1つ目は、足関節捻挫や前十字靱帯損傷、骨折などに代表される、瞬間的に大きな力が加わることによって起きる「外傷」と呼ばれるもの。2つ目は、疲労骨折や鼠径(そけい)部痛症候群のような、骨や関節、靱帯に対して過度な負担が繰り返し加わることによって生じる「スポーツ障害(オーバーユース)」である。

 スポーツを行う者にとってケガのリスクは常に付きまとう。サッカー界でも多くの選手がケガに悩まされており、医療の現場ではその治療に関して様々な議論がなされ、医学研究も盛んに行われている。また、当然ながらプロ以外の選手も同様で、将来を嘱望された若者がケガを理由にピッチから身を引くことも稀ではない。さらに言えば、育成年代の選手がオスグッド病などの「スポーツ障害」により、プレーの制限を余儀なくされるケースも多々ある。このように、ケガというのは一部の超人以外にとっては“隣人”であり、うまく付き合っていくことが必要になってくる。......

残り:4490文字/全文:5105文字
この記事は会員のみお読みいただけます

10日間無料お試しはこちら

TAG

ケガ

Profile

村山 瑛

1981年、栃木県生まれ。医師。社会人になりサッカーから遠ざかっていたが、息子がサッカーを始めて、選手経験はないが指導者になる。整形外科とリハビリテーションの診療に従事しており、スポーツ障害やケガに関してチームと選手と医療をもう少し結びつけたいと考えている。アイントラハト・フランクフルトと栃木SCのファン。5児の父。