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単なる煽り文句ではない「昇格へのラストピース」。金崎夢生が古巣・大分にもたらす「勝利へのガムシャラさ」

2022.09.15

13シーズンぶりにプロデビューした大分トリニータに復帰した金崎夢生。「勝つために必要であれば僕はやる。勝つか負けるかでその後の人生が変わるんだから」。西山GMが「おとなしい選手が多い」という大分に表れ始めた「金崎効果」とは? クラブを追い続けるひぐらしひなつ氏が33歳の“異端児”の熱い想いを綴る。

西山哲平GMの一言。「力になって欲しい」

 2022年8月、金崎夢生が大分に帰ってきた。

 2009年、J2降格とほぼ時を同じくして大規模な経営難が明るみに出たクラブが金崎を含む主力の多くを手放した時以来、実に13シーズンぶりの復帰となる。名古屋、ニュルンベルク、ポルティモネンセ、鹿島、鳥栖と国内外のクラブを渡り歩き、2020年から2度目に在籍していた名古屋を今夏、契約解除になっていた。フリーになった金崎にはすぐに複数のクラブから声がかかったが、その中に、2007年に高卒ルーキーとして加入し3シーズンを過ごした古巣・大分からのオファーがあった。かつてともにピッチに立っていた西山哲平GMの「力になって欲しい」という一言が、契約への決め手になったという。

 古くから大分を応援するサポーターにとっては、2008年のナビスコカップ優勝に象徴される“第1次黄金期”の記憶に刻まれたプレーヤーの1人だ。ルーキーイヤーから当時のペリクレス・シャムスカ監督に1.5列目のスーパーサブとして好んで起用され、2年目にはリーグ戦全試合に出場。ナビスコカップ決勝の清水戦では高松大樹とウェズレイの得点をそれぞれお膳立てし、ニューヒーロー賞に輝いた。あの金崎が再び青いユニフォームに袖を通し大分の選手として戦うことが、大きな期待をそそらないわけがない。

 チームに合流して4日目の8月20日、J2第32節・いわて戦に、金崎はいきなり先発で出場した。ボールを引き出してゴールに向かっていく時の前のめりの背中や、小学生時代に体得したフットサル仕込みの足裏を使ったボール捌きは、33歳になった今も若手だった頃と変わっていない。ただ、この日のフォーメーションはシャムスカ監督時代と同じ[3-5-2]だが、ポジションは2トップの一角だった。

J2第32節、いわて戦のハイライト動画

 「行く先々で監督に求められることによってどんどん変わっていったし、チームにとって自分がどういう役割を果たすのがいいかというところで変化していったから」

 名古屋ではウイング、鹿島や鳥栖では2トップの一角。その時々で求められることに応じて、プレースタイルを変化させていったと振り返る。近年の姿からはガツガツとゴールに向かう“剛”のイメージばかりが強くなっているようだが、もともとは意外に柔軟なのだ。

 「若い時はどう自分のプレーを出すかに全力だったけど、いろんなチームでいろんな試合を経験して、試合状況で今これが必要だなと思ったことを、自分の本来のプレースタイルでなくても出せるようになってきたんですよね」

 プロデビュー当時に時折ひらめかせていた南米のプレーヤーのようなテクニカルな個人技も含め、硬軟織り交ぜる器用さとセンスに、積み重ねた経験が引き出しを増やした。その中から状況に合わせたプレーを選択できる力が培われて、現在の金崎夢生がここにいる。

ボールを追いかける金崎(Photo: OITA F.C.)

ベンチスタートでも、「それでいい」

 1.5列目や中盤から最前線へと、初めて主戦場を移したのはポルティモネンセ時代。育成年代にも経験したことのなかったポジションでストライカーとしての役割を求められ、「大変な部分もたくさんあったし、今でもゴールという数字には物足りなさを感じている」という。

 「海外に行ってから、アシストや得点という目に見える結果をより求められるようになって。監督から『ボールを取られなかったりパスが上手かったりするのはわかるけど、別に怖くないんだよね。もっと怖い選手になってほしい』と言われたりもしました。じゃあどうしたらいいのかなと自分なりに考えて、多少強引でも自分で行くというプレーを増やしたんです。もともとそういうタイプではなかったけど、意識して変えました」……

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大分トリニータ金崎夢生

Profile

ひぐらしひなつ

大分県中津市生まれの大分を拠点とするサッカーライター。大分トリニータ公式コンテンツ「トリテン」などに執筆、エルゴラッソ大分担当。著書『大分から世界へ 大分トリニータユースの挑戦』『サッカーで一番大切な「あたりまえ」のこと』『監督の異常な愛情-または私は如何にしてこの稼業を・愛する・ようになったか』『救世主監督 片野坂知宏』『カタノサッカー・クロニクル』。note:https://note.com/windegg