
昨年12月、リバプールはブラジル代表GKコーチのクラウディオ・タファレルを3人目のGKコーチとしてトップチームに迎えた。かつてセレソンの守護神として1990年のイタリア大会から3大会連続でW杯の舞台に立ち、1994年のアメリカ大会では決勝のPK戦でイタリア代表ダニエレ・マッサーロのPKを止め、母国を世界制覇に導いたあのヒーローだ。
Happy birthday to @CBF_Futebol legend, Claudio Taffarel! 🎂🇧🇷
One of the greatest goalkeepers in the country's history, he played an integral role in Brazil's run to lifting the 1994 #WorldCup 🏆 pic.twitter.com/7IUs8oljIn
— FIFA World Cup (@FIFAWorldCup) May 8, 2020
ブラジルのレジェンドがマージーサイドに到来した背景を、ユルゲン・クロップ監督や他のGKコーチ、そしてタファレル自身の言葉から探ってみよう。
リバプールで2011年からGKコーチを務めているのが、オランダ人のジョン・アクターバーグだ。現役時代に母国のNACブレダとFCアイントホーフェンでプレーしたアクターバーグは、リバプールのレジェンドであるジョン・オルドリッジが指揮を執っていた当時イングランド2部のトランメア・ローバーズに移籍。11シーズンにわたり在籍した後、2009年にマージー川を挟んで対岸にあるリバプールアカデミーのGKコーチに抜擢され、指導者の道を歩み始めた。
2011年にサー・ケニー・ダルグリッシュ率いるトップチームのGKコーチに昇格したアクターバーグは、後任のブレンダン・ロジャーズの下でも仕事を続け、現指揮官ユルゲン・クロップからも「GKの百科事典」と呼ばれるほど絶大な信頼を得ている。彼の働きぶりを知るクラブOBのジェイミー・キャラガーによれば、アクターバーグはPKキッカーの分析も担当。
実際に2018-19シーズンのプレミアリーグ第8節マンチェスター・シティ戦では、リヤド・マレズがシティで初めてPKを蹴る際に、コーチングエリアから片腕を上げる不自然なジェスチャーでGKに飛ぶ方向を指示する姿が目撃されている。結果的にマレズのPKは枠外に外れたものの、アクターバーグの読み通りボールは左へ飛んでいた。

2018年9月にはアクターバーグの補佐役として、イングランド代表のU-15チームとU-17チームでGKコーチを担当していたジャック・ロビンソンをアシスタントGKコーチに迎え、昨年12月までリバプールのGK指導は2人体制で行われてきた。
GK練習を6選手と3コーチで実施
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Profile
田丸 由美子
ライター、フォトグラファー、大学講師、リバプール・サポーターズクラブ日本支部代表。年に2、3回のペースでヨーロッパを訪れ、リバプールの試合を中心に観戦するかたわら現地のファンを取材。イングランドのファンカルチャーやファンアクティビストたちの活動を紹介する記事を執筆中。ライフワークとして、ヨーロッパのフットボールスタジアムの写真を撮り続けている。スタジアムでウェディングフォトの撮影をしたことも。